先行研究で同定した、トマト黄化えそウイルス(TSWV)の複製が低下する出芽酵母変異株について、各原因遺伝子のTSWV複製における機能を解明することが本研究の大きな目標である。まず、各遺伝子のTSWV複製への関与を確認するために、実験室系統の出芽酵母W303a株を用いて、43遺伝子について遺伝子破壊株を作出した。これらの変異株のうち、再現的にTSWVの複製が低下することが確認され、さらに当該遺伝子の発現によってTSWVの複製が回復したものが8遺伝子得られた。 この8遺伝子を中心に機能の解析に着手した。TSWVタンパク質が各変異株細胞内で正常に蓄積しているか調べたところ、いくつかの変異株ではLタンパク質(RNAポリメラーゼ)の蓄積が顕著に低下しており、Lタンパク質の発現あるいは安定性に影響があると考えられた。
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