研究課題
雑食性昆虫種は本能的な栄養分選好性行動が健全な成長と生育に必須である。この本能行動を分子レベルで明らかにするため、フタホシコオロギを用いて研究している。①フタホシコオロギの栄養分選好性は、末梢組織と神経系の連絡が重要であることから、令和2年度では、脂肪体での内分泌系と脂肪体内での代謝系を追究した。ところが、令和3年度の前半で、これまでIn silicoで同定したホルモンやホルモン受容体の大部分は実際に転写されていなかったり、転写物が同定したものと異なっていたりしていたため、改めて、RNA-sequencing解析を行い、データを現有のものに加えさらに蓄積させた。またゲノム支援の研究計画のSingle cell RNA-seqのデータも加味して、より正確なデータを得ることを優先させて解析を進めていった。②昆虫の体内の栄養センシングに重要な側心体(CC)に特異的な内分泌系プロファイルを①で同定した詳細な解析をしなおした。そこから、内分泌のネットワークのハブとなっていたCCの制御系を明らかにした。一方、蛍光‐HPLCを用いたAKHの定量系を確立し、代謝系と内分泌系がCCにおいて連携していることを再確認した。③動物食および植物食を特徴づける餌中の成分として、脂溶性化合物が重要であることが分かった。また、雑食性の昆虫種が、植食性種と同様に植物ステロールからコレステロールを変換することが分かった。この変換経路は、これまで明らかにされていた変換経路とは異なる経路であることを発見した。そのため、多くの昆虫種を用いて植物ステロールからコレステロールを変換する経路を検討している。さらに、脂溶性成分が肉食系の行動を惹起することが明らかになったため、今後はこの成分の化学構造を明らかにして分生生物学的な手法を用いてさらに食性に関わる分子メカニズムを明らかにすることを推進している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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