一部のカメムシ類昆虫は、自身の成長や繁殖に必須な腸内共生細菌を次世代に引き継ぐため、特殊な分泌物の中に共生細菌を封入し、卵の傍らに塗布する。本プロジェクトでは、共生細菌を体外で保存するカメムシの垂直伝達のしくみの解明に取り組んだ。その結果、垂直伝達のための特別な組織がメス成虫において分化することや、本封入物質に糖タンパク質や低分子分泌性タンパク質を主要構成成分として含んでいることを明らかにした。また、分泌物合成に関わる遺伝子群やそれらを上流において制御する因子を特定するなど、垂直伝達の分子遺伝学的メカニズムを明らかにした。
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