研究課題
板鰓類の種多様性、繁殖生態および出産間もない幼魚の出現状況、トビエイ亜目のエイ類が胚発生初期に休眠期を持つ可能性を調べるために、有明海北部の河口域から有明海中央のやや深い海域にかけて設定した各定点で定期的に野外調査を実施した。採集した板鰓類の同定と生物測定等を行った後、生殖腺の組織学的観察、年齢査定と成長解析、胃内容物の分析等を行った。その結果、サメ類、エイ類各種の季節的な分布や出現状況成熟段階と年齢別のデータを蓄積できた。また、採集した板鰓類のうち、臍帯痕を持つものについては別途研究を行い、月別の分布や出現状況について検討を加えた。現在、種別に成熟サイズおよび年齢、交尾・排卵・受精時期、子宮内での精子貯蔵の有無等の繁殖特性の解明を進めているところである。なお、アカエイ類については未だ解決していない分類学的検討を行うとともに、外部形態等データの収集と解析、また現存する標本調査を行った。トビエイ亜目の胎生エイ類については、胎仔及び母体の子宮絨毛組織や分泌物等を採集した。エイ類では受精卵や発生初期の胎仔の収集が特に困難であるが、これまでにアカエイ、シロエイやナルトビエイ等の複数種の受精卵や胎仔の収集に成功した。全ての発達段階を明らかにし、ステージ区分を行うためには更なる試料が必要である。胚発生・休眠・再開の実態を集団レベルで明らかにするため、細胞レベルでの詳細な観察を進めているが、今年度も胎仔の成長の詳細な記録、外部・内部形態の発達過程を重点的に研究した。今年度はナルトビエイの繁殖戦略と胎仔の発達過程や胚休眠による生存戦略を初めて解明した成果をまとめ、国際誌に投稿するなど成果の公表にも努めた。
2: おおむね順調に進展している
引き続きコロナ禍でフィールド調査等の計画を変更せざるを得なかったが、順調に成果をまとめることができたため、全体としては比較的順調に進展した。
コロナ禍で、フィールド調査の実施計画の立案が難しく、また研究協力者とのミーティングや学会発表等も対面で行うことが難しい状況であるが、オンラインをうまく活用し、臨機応変に対応することで、最終年度に滞りなく成果を出せるよう努めたい。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 7件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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