研究課題/領域番号 |
19H02978
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
可知 直毅 東京都立大学, 理学研究科, 客員教授 (30124340)
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研究分担者 |
大澤 剛士 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (40554332)
平舘 俊太郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (60354099)
畑 憲治 日本大学, 商学部, 准教授 (60468147)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外来生物 / 外来植物 / 海洋島 / 侵略性 / 土壌条件 / 小笠原 |
研究実績の概要 |
(1)アカギの種子の発芽条件および栽培条件を確立した。一方、モクマオウについては、採取時期や成熟度の異なる種子で発芽実験を試みたが発芽が全く確認できなかった。 (2)小笠原諸島聟島列島の媒島で採取した土壌をポット栽培実験に使用し、アカギ実生を使った栽培実験を実施した。強酸性土壌による生育抑制は、アカギではほとんど認められなかったが、ギンネムでは、PあるいはNのみを土壌に添加した条件で認められた一方、PとNが十分にある条件ではみられなかった。これらの実験結果をとりまとめて学会発表を行った。 (3)栽培実験で得られたギンネム植物体の各部位(地上部、根)における栄養塩(窒素)含有量を分析した。 (4)モクマオウ林と隣接するヒメツバキ林において、土壌断面形態を比較したところ、モクマオウ林では顕著な乾湿サイクルが繰り返されていると考えられる土壌断面形態(深い亀裂)を確認した(父島・洲崎)。この結果は、モクマオウの水環境エンジニア仮説と矛盾しない。一方、アカギとギンネムについては、隣接する在来林においても、深い亀裂を伴った土壌断面形態は観察されなかった。 (5)行政が実施した保全事業の報告書および植生図から、小笠原諸島における3種の分布データのアップデートを行った。 (6)アカギは土壌中可給態P含量が高い土壌に出現しやすかった。また、土壌pHが低く、酸性が強い土壌にも分布していた。母島ではアカギは優先する場所が散見されるが、父島ではアカギは存在しながらも優占していない。父島におけるこれらの場所(3点)では、土壌pHが5.7~6.4と弱酸性領域にあり、可給態リン酸含量が、土壌100gあたり0.8~1.7mgと極めて低かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アカギの栽培実験は当初計画どおりに実施できたが、モクマオウ種子の発芽条件が未確立である。新型コロナウイルス禍の影響を受け、2019年度に実施した栽培実験でサンプルしたギンネム個体の栄養塩含有量の分析の一部(PおよびK)と小笠原ででの現地調査が年度内に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に実施できなかった栽培実験でサンプルしたギンネム個体の栄養塩含量の分析を2021年度に繰り越して実施する。また、アカギの栽培実験と植物体および土壌の化学分析を完了し、研究成果を順次学会等で発表し、学術論文として投稿する。
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