研究課題/領域番号 |
19H02982
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松島 肇 北海道大学, 農学研究院, 講師 (40359485)
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研究分担者 |
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
島田 直明 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (40363725)
岡 浩平 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (80573253)
根岸 淳二郎 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90423029)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グリーンインフラ / 海岸砂丘系 / 海浜エコトーン / 地域主体 / 持続的管理 |
研究実績の概要 |
本年は初年度であることから、調査地の選定、試験区の設置、並びに調査開始時点の生態系・環境条件の把握に力点を置いた。 植生調査については、4箇所の調査区を設定し、各調査区において汀線から内陸側へ垂直方向に側線を設け、5m間隔で出現種並びに被度・草丈等を記録した。その結果、内陸に向かうに従い、植物群落の種構成に変化が見られ、多くは内陸に向かうに従い、海浜性の植物群落から内陸性の植物群落への変化が見られた。しかし、調査区ごとにその傾向に違いが見られ、地形や土壌の化学組成などの環境条件の違いが影響していることが明らかとなった。また、砂丘生態系を分断して建造された巨大防潮堤とその海側・陸側近隣地における微地形と植生の動態を微細スケールで調査した。その結果、防潮堤海側の砂丘の様態や防潮堤建造時の保全対策の在り方、防潮堤壁面のデザインが、「コンクリート壁防潮堤の自律的な砂丘化や植生被覆の進行」を左右している実態を把握できた。 昆虫相のモニタリング調査については、訪花昆虫相に着目し、全調査区にて防潮堤の海側・陸側に水盤トラップを設置し、捕獲数および種の同定を行った。その結果、海側・陸側共に海浜性のハチ目が多く生息していることが把握されたが、海浜の狭い調査区のみ、内陸性のハチ目が多く確認された。また、安定同位体比を用いて海洋由来資源の海岸消費者への貢献度を定量化することで、防潮堤の食物網への影響の把握を目指した。自然地形の影響と比較するため北海道では1.5mの浜崖の影響を調べたところ、食物網の分断化を招いていることが確認された。 活動調査としては、宮城県と岩手県において、海浜植物を用いた環境学習並びに植生復元活動を実践した。海浜植物の特徴などを学び(教育)、種子を蒔き育て(体験)、海浜へ植栽(保全)するプログラムについて、実施前後の意識の変化をアンケート調査により把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者と連携しつつ、順調に調査地の選定、試験区の設置、モニタリングを実施することができた。取得したデータについては、まだ解析が終了していないものがあることから、引き続き解析を進めていく。しかしながら、年度末からのCOVIDー19による影響で、調査地への渡航が制限されたことから、一部のデータが回収できていない。これについては、現地研究分担者・研究協力者と連携を密にして対応予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCOVID-19の影響により、年度はじめの調査が十分に実施できないことが予想されるため、現地の研究分担者並びに研究協力者と連携し、研究計画に大きな変更が生じない程度に調査項目を絞った上で、調査者の安全を第一として調査を進めていく。なお、本研究は4年間のモニタリングを主目的としているため、データに一部欠損が生じたとしても、他年度の調査で補うことは可能である。
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