研究課題
本年度の研究実績は以下の4点である。(1)カナダ・トロントにおけるコミュニティ農園と、国内の都市部河川敷における土地耕作の実態についてのケーススタディが、それぞれ、査読付論文として発行された。また、タイ・バンコクの市街地における空き地の農的利用、国内の農住混在市街地における敷地境界部のデザインについての研究成果を、それぞれ国際会議でポスター発表した。(2)東京都西東京市の農住混在土地利用の分析、市民農園を中心とする「農ある暮らし」の実態、農住混在空間の長所・短所・可能性に関わる検討、東京都練馬区の農家による土地マネジメントの実態と土地利用規制の検討について研究成果をまとめ、国際会議でポスター発表した。(3)まちづくり団体が行う都市農業の中間支援の実態調査(国分寺市および柏市)、農住混在市街地における住民の農地保全への意向調査(西東京市)について、それぞれの研究成果を国内会議・国際会議でポスター発表し、前者については査読付論文として投稿した。(4)東京都の全域が市街化区域の18自治体で策定された都市農業振興法に基づく地方計画である都市農業の振興に関する計画を対象に、都市農業の施策の特性を分析し、成果を国内会議でポスター発表した。また同内容を査読付論文として投稿し、採用された。
3: やや遅れている
コロナウィルス感染症の世界的な拡大により、当初予定していた国外調査が遂行できておらず、国内外の事例を踏まえた検討を予定していた、「農」と「都市」のレイヤー間の関係性の整理や、両レイヤーの統合的概念モデルの検討が、十分に進められていない。
コロナウィルス感染症の状況を注視し、可能であれば、当初予定していた国外先進事例調査を実施する。2021年度も海外調査の実施が困難な場合、国内調査等を充実させるとともに、海外の研究者とオンライン会議等を通じて密な連携を行うことで、「農」と「都市」の両レイヤーの統合的概念モデルの提示に向けた検討を推進する。国内における調査・検討については、以下の4点を予定している。(1)障がい者がかかわる農作物栽培活動を網羅的に調査し、活動実態、動機、課題、活動の地理的傾向などを分析する。これにより、社会的課題の解決という点から、「農」と「都市」のレイヤー統合のあり方を検討する。(2)東京圏の宅地と農地が混在するいわゆるスプロール地区において、幹線道路(都市計画道路)に囲まれるモデル地区の農住混在空間の物的環境と社会環境に関する計画・マネジメント方策を検討するとともに、街区スケールの宅地開発における都市農地保全・創出のあり方について東京圏郊外の先進宅地開発事例の分析に基づく検討を行う。(3)農住混在市街地における住民の都市農地保全意向(西東京市)について、研究成果を査読付論文として投稿する。また、都市の低炭素化への都市農業・都市農地の貢献を検討するため、東京都の都市農家数名に対して詳細な調査を行い、農作物栽培から流通にかけての炭素排出ならびに農地の土壌有機炭素貯留量の推定を行う。(4)都市農業の流通部分の実態について、統計資料等がなく不明な部分について調査する。具体的には、農家が農地の地先に設置している直売所、学校給食における都市農業の生産物の使用実態について実態調査を行い、都市農業の有する社会的機能を明らかにしてゆく。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
ランドスケープ研究
巻: 84(5) ページ: 575-580
10.5632/jila.84.575
Sustainability
巻: 12 ページ: 8283
10.3390/su12198283
都市計画論文集
巻: 55(3) ページ: 721-728
10.11361/journalcpij.55.721
都市計画
巻: 345 ページ: 54-57