研究課題
基盤研究(B)
日本における野生のツキノワグマの基礎的な繁殖パラメータは存在しないが、科学的根拠に基づく管理への第一歩として、本州中部に生息するメスのツキノワグマの繁殖パラメータを定量化することを目的とした。その結果、初繁殖成功年齢は5.46±0.22(平均±SE)歳、繁殖間隔は2.38±0.48年、1回当たりの出産数は1.58±0.09頭と推定された。また、年間自然死亡率および年間人為的死亡率を明らかにするとともに、子グマについては、子殺しが多く発生すると考えられる初夏までの死亡率を推定した。
生態学
本研究は行政と長期研究プロジェクトで得られた2つの情報を組み合わせることで、直接観察することが難しいツキノワグマの基本的な繁殖パラメータを明らかにした。今後、さらに研究を進めることで、繁殖パラメータに影響を与える要因を明らかにし、それがこれまでの個体群動態にどのような影響を与えてきたのかを明らかにすることができれば、生息状況に不明な多いツキノワグマの保全・管理の改善に役立つと考えられる。