研究課題/領域番号 |
19H02994
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
黒田 慶子 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20353675)
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研究分担者 |
升屋 勇人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70391183)
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
中馬 いづみ 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90628926)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Euwallacea / Fusarium / Ambrosia Fusarium / マンゴー / デイゴ / 養菌性キクイムシ / 樹皮下キクイムシ |
研究実績の概要 |
菌とキクイムシ両者の宿主選択性の究明 1)シイノコキクイムシXylosandrus compactusから検出されたFusarium属菌の大半はFusarium solani species complex(AFFC)所属であったが、樹種や場所により異なっていた。またEuwallacea属と共生するFusariumとは系統的に異なっていた。 2)石垣島のマンゴーの枯れ枝に生息する E. fornicatusとE. perbrevisの虫体と樹木組織からAmbrosia Fusarium Clade (AFC) に属する3種類の菌を検出した。うち1種類はデイゴの病原性菌株Is2-f4(it2)と同一で、Fusarium pseudensiformeであった。沖縄島のマンゴーに生息していたE. kuroshio成虫の頭部からAFCのF. kuroshiumが検出された。3)樹皮下キクイムシのオオハマボウノコキクイムシErnocladius corpulentusではGeosmithia属菌が優占し、希に検出されたFusarium属菌はEuwallacea属キクイムシ共生菌とは系統が異なり、偶発的な随伴関係と考えられた。
Ambrosia Fusariumの病原性の確認 1)石垣島のマンゴー起源でAFC所属の3菌株とデイゴ病原菌(it-3)がマンゴーに病原性を示し、養菌性キクイムシの樹種間移動によって病原菌感染が拡大する可能性が示された。2)デイゴに軟腐症状を起こすAFC所属菌と同一の種類が健全枝から検出され、また、デイゴヒメコバチによる虫瘤の壊死部からも本菌が検出されたことから、本病害は傷からも感染すると考えられた。3)イチジクを加害するEuwallacea interjectus(愛知県産)と共生するFusarium属菌のセルロース分解酵素を分析し、その効能を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の蔓延にともない、沖縄県への出張などに制限はあったが、接種実験およびDNA解析は順調に進められた。
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今後の研究の推進方策 |
1)菌とキクイムシ両者の宿主選択性の究明:キクイムシ類生息樹木から検出されるAmbrosia Fusarium(AFC)に対象を絞り、随伴菌の近縁性と生存戦略の多様性の関係を明らかにする。 2) Ambrosia Fusariumの病原性の確認:台湾産のキクイムシおよび随伴菌との比較のため、ナンヨウキクイムシ(Euwallacea fornicatus)(沖縄本島産)の共生菌(Fusarium kuroshium)をマンゴー苗木に接種し、その病原性を検証する。また、昆虫随伴に加えて複数の伝染方法(根系感染や傷感染)を持つ菌種に注目し、その生理・生態的特性と同様の菌種との近縁性を明らかにする。昨年度の実施予定のうち、樹皮下キクイムシと土壌についての調査が十分ではなかったため、継続して試料採集と分離を行う。
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