本年度は、北海道各地の針葉樹の優占度が異なる落葉広葉樹林~針葉樹林、および、九州や南西諸島(屋久島)の常緑広葉樹林~針広混交林など、日本国内の森林調査区において毎木調査を行って成長速度・新規加入率・死亡率のデータを得た。これらの調査区においては、昨年度までに光環境・土壌栄養の調査を終えている。また、北海道のブナの最北限地に新たに調査区を設置して、上方の針葉樹林に下方からブナ林が侵入しつつある過程を明らかにし、さらに、針葉樹林とブナ林における光環境を計測してその違いを明らかにした。これらの調査区における小型の温度ロガーを用いた気温・地表面温度・地温(深さ10cm)の観測も継続し、気候のデータを得た。また、新規調査地には新たに設置した。これらの調査区は亜寒帯から亜熱帯までの気候にあり、針葉樹の分類群やその優占度も異なる。 新型コロナウイルスの感染状況が改善して海外出張が可能になったので、マレーシア領ボルネオ島キナバル山の標高・土壌傾度に沿って設置された森林調査区の再調査を行い、4年ぶりに樹木の成長速度・新規加入率・死亡率のデータを得た。また、昨年度設定した北半球半乾燥地帯のモンゴルの調査区についても追加調査を実施した。 北海道大学の博士後期課程学生1名を本研究課題のリサーチアシスタントとして雇用して、野外調査データの管理解析等を担当していただいた。年度末には研究成果の一部を取りまとめて、日本生態学会の大会で発表した。
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