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2019 年度 実績報告書

現植生分布の基となる最終氷期最盛期における植生の定量的復元

研究課題

研究課題/領域番号 19H03001
研究機関京都府立大学

研究代表者

高原 光  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任教授 (30216775)

研究分担者 平山 貴美子  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10514177)
佐々木 尚子  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (50425427)
林 竜馬  滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (60636067)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード花粉分析 / 最終氷期最盛期 / 花粉生産量 / 植生の定量的復元 / マツ科針葉樹 / リタートラップ法 / 景観復元法(LRA) / 白駒池
研究実績の概要

最も寒冷で乾燥した約2-2.5万年前の最終氷期最盛期(LGM)における植生の定量的な解明の目的で,1.LGMの植生の主要構成要素であるマツ科針葉樹の花粉生産量を解明するための調査,2.LGMの植生に類似した植生が残存する北八ヶ岳において,堆積物の花粉分析を行った。
1.花粉生産量調査:トウヒ(奈良県大台ヶ原2016年開始),アカエゾマツ(北海道阿寒2016年開始),トドマツ(北海道足寄2016開始),ウラジロモミ(奈良県大台ヶ原2017年開始),モミ(京都府南丹市日吉町2017年開始),ツガ(京都府立植物園2017年開始),コメツガ(長野県八ヶ岳2018年開始),ヒメコマツ(京都市右京区片波2016年開始),チョウセンゴヨウ(北海道足寄2015開始),ダケカンバ,シラカンバ(長野県南佐久郡野辺山2019開始),クリ(京都市左京区八丁平2015年開始)について,従来から設置していた調査地,および,今年度から新たに設置した調査地において,花粉生産量調査を開始した。各地調査プロットにおいてにリタートラップで補足した落葉落枝を定期的に回収し,落下雄花数を測定した。また,各樹種の雄花あたり花粉含有数を測定した。年間花粉生産量は,2020年度5月以降のデータを加えて検討する。
2.白駒池における堆積物採取と花粉分析:北八ヶ岳に位置する白駒池において,2015年に採取された全長42cmの湖底表層堆積物について,花粉分析を実施した。その結果,全層準においてツガ属,モミ属,カバノキ属の花粉が優占し,マツ属とトウヒ属が随伴していた。また,低標高地域から飛来してきたコナラ亜属やブナ属をはじめとした冷温帯要素の花粉も多く検出された。今後,これらの分析をさらに詳細に行い,その結果と,周辺の植生分布との対応を検討する計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

花粉生産量調査については,近畿地方,長野県,北海道に12調査地を設定し,リタートラップを設置して,新設プロットも含めて,順調に調査を開始することができた。本研究が開始された2018年以前に回収した落葉落枝も含めて,雄花を選別し,その量を測定することも順調に進んでいる。また,各樹種の花粉放出前の雄花を採取し,今後の調査に必要な試料とすることができた。
LGMの植生に類似した植生が残存する北八ヶ岳において,定量的復元の検証のために用いる堆積物試料を,他大学研究者が2015年に採取した乱れていない良好な堆積物から分取し,花粉分析を実施することができた。
また,比良山地,丹波山地,山形平野などから,最終氷期最盛期の花粉分析データを収集した。
以上のことから,研究は順調に進んでいると判断できる。

今後の研究の推進方策

花粉生産量調査:八ヶ岳において,オオシラビソ(あるいはシラビソ)の優占する林分において,調査地を設定し,リタートラップを設置する。ツガについては,現在京都府立植物園の人工の小林分で調査を実施しているが,自然植生の林分に調査地を設定する。その他,これまでに設定した調査地については,定期的にリタートラップに落下した落葉落枝の回収とリタートラップの維持管理を行う。また,2019年度と同様に,回収した落葉落枝の分析を進め,可能な樹種から年間花粉生産量を算出する。
堆積物採取と花粉分析:2019年に実施した白駒池堆積物の花粉分析をさらに詳細に進める。さらに,白駒池に近い小規模な湿原である白駒湿原で堆積物を採取し,花粉分析,年代測定を行う。
本研究グループでの研究結果の検討や研究推進に関しての打合せは,コロナ感染症の影響で会議を開くことが困難であるため,Zoomなどのオンラインシステムを利用して定期的に会議を行い,研究の進展や結果の分析について,議論を行う。調査に関しても,長野県や北海道などの他府県へ出張するため,常に最大限の感染対策を行って,安全な調査に心がける。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Institute of Ecology, Talon University(エストニア)

    • 国名
      エストニア
    • 外国機関名
      Institute of Ecology, Talon University
  • [国際共同研究] Linnaeus University(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Linnaeus University
  • [雑誌論文] 滋賀県西の湖におけるヨシ群落の花粉生産量-イネ科草本群落の相対的花粉生産量推定に向けて-2019

    • 著者名/発表者名
      林 竜馬・和田 周・佐々木尚子・竹田勝博
    • 雑誌名

      日本花粉学会会誌

      巻: 65 ページ: 11-20

    • 査読あり
  • [学会発表] 猪苗代湖と周辺遺跡の花粉分析からみる過去1700年間の植生変遷2019

    • 著者名/発表者名
      林 竜馬・上中央子・廣瀬孝太郎・長橋良隆
    • 学会等名
      日本花粉学会第60回大会
  • [学会発表] 最終氷期最盛期における定量的植生復元のための基礎研究2019

    • 著者名/発表者名
      高原 光・佐々木尚子
    • 学会等名
      日本花粉学会第60回大会
  • [学会発表] マツ科3属7種の花粉生産量の推定―定量的植生復元の基礎資料として―2019

    • 著者名/発表者名
      斎藤俊彦・竹谷尚樹・三宅悠平・高原 光・佐々木尚子・中村琢磨・林 竜馬・杉田真哉
    • 学会等名
      第34回日本植生史学会大会
  • [学会発表] Orbital-scale vegetation-ocean linkages in western Japan during the last 500,000 years based on a new pollen record from the Japan Sea2019

    • 著者名/発表者名
      Ryoma Hayashi, Takuya Sagawa, Tomohisa Irino, Ryuji Tada
    • 学会等名
      American Geophysical Union Fall Meeting
  • [備考] 高原 光

    • URL

      https://htakahara.simdif.com

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公開日: 2021-12-27  

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