研究実績の概要 |
2020度は、2019年度に実施した人工交配から得られた1家系96個体のRNAシーケンスデータをもとにeQTL解析に使用する連鎖地図の構築を行った。得られたシーケンス情報を現有のクロマツESTリファレンス配列にマッピングした結果、3,556,993サイトにおいて多型が検出でき、そのうちメンデル遺伝を示す10,679サイトの変異を用いて連鎖地図の構築を試みた。10,679サイトの変異のうち、3,286サイト(遺伝子座)は12本の連鎖群に収束し、全長1531,2cM、マーカー間密度は0.47cMの高密度な連鎖地図を構築することができた。この連鎖地図情報をもとに、2021年度は遺伝子発現情報を加えたeQTL解析を実施する予定である。 また当該年度においては、九州育種場において接ぎ木増殖によって得られた抵抗性個体群48クローン(コントロールを含めて1クローンあたり各4個体合計192個体)について、線虫接種前の針葉サンプルを採取するとともに、サンプル収集後に各個体にマツノザイセンチュウ(アイソレイトKa4)を個体あたり10,000頭ずつ接種した。表現形質は1週間おきに接種後10週目まで5段階評価で病徴を評価するとともに、接種後1週目および2週目についてはRNA-seqに供試する針葉サンプルを採取した。収集した針葉サンプルについて、各48クローンの線虫接種前及び接種後14日目の針葉サンプル合計96サンプルについてTotal RNAの抽出を行い、次世代シーケンサー(illumina社製 Hiseq)を利用して150bpのペアエンドでRNA-seqを行った。各サンプルにおいて、約30Mリード相当のシーケンス情報を収集した。
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