研究課題
きのこの多くは、木材を栄養源として生育する木材腐朽菌である。我々は既にきのこが作る子実体を食品や薬として古来から利用しているが、きのこの木材分解メカニズムや子実体形成メカニズムには依然として不明な点が多い。本研究の目的は、ゲノム編集技術を利用して木材腐朽現象を理解し、「きのこはどのように木材を分解しているのか」を明らかにするとともに、新しいバイオマス変換系の構築に応用することである。白色木材腐朽菌Phanerochaete chrysosporiumでは、形質転換条件の検討を行い、安定形質転換体を取得し、ゲノム編集実験系を確立することに努めたが、やはり抗生物質耐性が高く、現在用いている抗生物質ハイグロマイシンBは選抜に高濃度が必要であった。そこで、他の生物種でも用いられている抗生物質(Zeocin、G418、Blastcidin、Puromycin、Carboxin)を試したところ、Carboxinのみが100μg/mLの濃度でP. chrysosporiumの成長を阻害できることが明らかとなった。さらに今回テストした担子菌ウシグソヒトヨタケ(Coprinopsis cinerea)、キチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)Postia placentaの成長も同様に100μg/mL以下の濃度で阻害できることが明らかとなった。さらに、C. cineraのゲノム編集㈱を作成するためのベクターを35種類調製し変異体作成を試みたところ、セルラーゼ(GH6B、GH6C)、アラビのフラノシダーゼ(GH51)、セロビオース脱水素酵素(CDH)、ピラノース脱水素酵素(PDH)の変異株を得ることに成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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