研究課題/領域番号 |
19H03023
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
大村 和香子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00343806)
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研究分担者 |
大平 辰朗 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353619)
神原 広平 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60727577)
楠本 倫久 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80537168)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シロアリ / におい / 嗅覚 / 探知犬 / センシング技術 |
研究実績の概要 |
本研究では探知犬のシロアリ認識機構を解明するとともに、探知犬の検出能力に匹敵する新たなセンシング技術を構築する。この際、シロアリの‘におい’をトレーニングにより学習した探知犬と、本能的に認識している捕食性アリとのシロアリ認識機構の相違を明らかにし、新たなバイオセンサの探索・開発に繋げる。 今年度は探知犬のシロアリに対する生理応答指標として、心拍の計測と心音の計測を主として行った。イエシロアリを1か所のみに入れた6択方式でのシロアリ検出実験において、シロアリ発見時の心拍、心音の変化を計測した。その結果、昨年度と同様、シロアリ発見時において、心拍挙動が特異的に変化する傾向が認められた。また、心音解析により探知犬のシロアリ検出時の感情予測も進めた。 シロアリ虫体抽出物を分析したところ、一部の試料で餌(アカマツ)由来と考えられるα-ピネン、β-ピネン、β-フェランドレンのほか、インドールが検出されたが、探知犬がこれらを嗅ぎ分けているかは現段階では不明である。イエシロアリ体内に含まれる低極性成分を有機溶媒で抽出しGC分析を行った結果、兵蟻、職蟻共にオレイン酸をはじめとする多くの脂肪酸類を検出した。現在、これらの脂肪酸類と油臭との関係性について、SPME等を用いた臭気分析を進めている。オオハリアリのシロアリ捕食行動実験の結果、オオハリアリはシロアリに4mm程度まで近づくと、ようやくシロアリであることを認識し、攻撃を行った。このことから、オオハリアリのシロアリ認識にはシロアリ由来の揮発しにくい成分が寄与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、探知犬を用いた実験を実施する機会や場所の調整に苦慮したが、結果として3頭の探知犬に対して心音計測可能なセンサを装着しての実験を敢行できた。さらに当該センサにより、探知犬の心拍の探知活動中の変化がスムーズに追跡できた。またシロアリ由来成分の分画、オオハリアリによる行動実験も進めることができたことから、現在までの進捗状況を おおむね順調に進展している と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、探知犬とオオハリアリとのシロアリ認識機構が異なる可能性が示唆された。この相違点を明らかにすることで、新たなシロアリセンシング手法の提案に繋げる。
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