これまでの耳石を用いた環境履歴の解析は、微量元素Srを指標とした塩分履歴が主であったが、本研究によって、内湾の貧酸素条件等に加えてストレス等が耳石Mnを増加させるものと考えられた。これらの結果より、耳石Mnが内湾環境の指標となり得ることが示され、耳石を用いた環境履歴解析において、新しい微量元素の有用性が示された。 さらには貧酸素のみならず、海洋酸性化・化学汚染が耳石の微量元素組成や微細構造に影響している可能性が示された。内湾漁業資源がどのような内湾環境を利用しながら生活しているかを明らかにするツールが開発され、社会的な課題解決につながるものと思われる。
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