研究課題/領域番号 |
19H03026
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
湯山 育子 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (80565995)
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研究分担者 |
神保 充 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (10291650)
橋本 哲男 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50208451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | サンゴ / 褐虫藻 / 細胞内共生 / 白化現象 / 遺伝子発言解析 / プロテオーム解析 / RNAi |
研究実績の概要 |
サンゴと褐虫藻が共生する過程、白化する過程で発現変動するサンゴの遺伝子については研究が進んできたが、褐虫藻側の遺伝子発現解析は進んでいなかった。本研究では、これまで解析されていなかった褐虫藻側の遺伝子発現に着目し、サンゴに共生する際や白化する際、褐虫藻で起きる変化について明らかにした。 また、これまで使っていたサンゴとは違う種類のサンゴに褐虫藻を共生させ、その遺伝子発現変動、タンパク質量の変化を調べることで、共生時により普遍的な変化を同定することを試みている。 加えて、サンゴー褐虫藻の細胞内共生が成立しない状況で発現変動する遺伝子に着目し、それらの遺伝子の発現を抑制することで共生成立に影響があるか否かを調べた。その結果、サンゴ体内での共生が遅い褐虫藻の、共生促進の効果が得られた。結果として、こうした遺伝子の発現が、特定の褐虫藻の細胞内共生を妨害しているため、これら遺伝子の発現抑制することで共生を促進することを明らかにした。 また、褐虫藻の遺伝子発現解析の際に、サンプル数の少ないRNA-seq dataからブートストラップリサンプリングにより不足したデータを補い、解析する手法を新たに検討した。そして従来のRNA-seq解析と、ブートストラップリサンプリングデータを使った解析の2つの解析手法で共通して検出された発現差のある遺伝子に着目することで、発現変化する遺伝子をより絞り込む工夫をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に必要なサンプルを得ることができ、これまで蓄積したデータの分も合わせてサンゴー褐虫藻の共生関係や白化現象についての遺伝子発現データを十分に揃えることができた。また、プロテオーム解析、RNA-seq解析の再検討についても検討でき、論文執筆の準備も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
サンゴの白化現象の際のプロテオーム解析を実施するため、サンゴー褐虫藻共生体の飼育と、ストレス暴露実験を行う。また、これまで蓄積したRNAーseq dataとプロテオーム解析の結果を統合して、共発現ネットワーク解析を実施し、サンゴー褐虫藻の共生成立により重要な遺伝子発現を明らかにしていく。加えて、共生関連遺伝子(共生成立時に発現変動が大きい遺伝子)をターゲットにRNAiを実施し、サンゴと褐虫藻の共生成立に関わる遺伝子をさらに特定する予定である。
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