研究課題
(1)ウキウオジラミ成体がプランクトン中から発見される原因を宿主サッパの季節的移動と関連して以下のように推定した。瀬戸内海ではサッパが産卵のために夏から秋にかけて沿岸域から汽水域に入るため、ウキウオジラミ成体は宿主から離脱して、その後も成体雌は受精卵を産出し続ける。宿主から離脱するのは、孵化するノープリウス幼生が低塩分に耐性がないためと考えられる。サッパには別な外部寄生性甲殻類サッパノギンカが寄生するが、寄生状況に関しては両者の間に統計的に干渉作用は認められなかった。(2)マレーシア産ヨコフエダイからウオジラミ類Caligus dussumieriの出現を本国から初めて記録した。本種はbonito種群に属し、この種群が主に遊泳魚に寄生することを明らかにした。mtCOIの遺伝子(481bp)を用いた系統解析では本種群は形態的にも第2胸脚内肢の共有派生形質によって定義できるクレードを形成する。(3)ウオジラミ属の発生段階には他のカイアシ類と異なる用語、つまりカリムス幼体、プレアダルトなどの用語が使用されていたが、これは宿主に付着する前額糸(frontal filament)の有無でコペポディド幼体を区別したものである。しかし、狭義のコペポディド幼体、成体でも前額糸を持つ時期があるので混乱を生じていた。したがって、通常のカイアシ類と同様にコペポディド期をコペポディドI-VI期と呼ぶことを提案した。(4)セトウオジラミ成体を10MU/mLのTTX添加海水に暴露しても急性毒性は示さず、体内への取り込みも見られなかった。本種の体内に存在する宿主由来のTTXは経口的にのみ取り込まれると推定される。(5)インド産クロアジモドキの鰓腔からウオジラミ科Synestius caliginus を記録した。さらに駿河湾産深海性魚類からヒジキムシ科1新属新種、コツブムシ科2新属2新種を記載した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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