研究課題
オホーツク海南岸の海洋酸性化の実態を明らかにするべく、引き続きISFET-pHセンサによる連続モニタリングと海水採取による炭酸系の調査を実施した。4年間を総括すると、紋別沖オホーツク海南岸の海水のpHは7.95~8.24/yrで変動し、春、秋期にはpHが上昇し、冬季に低下する明確なパターンを得た。炭酸塩飽和度(Ωara)は冬季に1.1まで低下し、有殻翼足類の殻形成に影響をする閾値(1.4)を大きく下回ったが、現場の殻密度をMXCTで計測すると、むしろ夏季より高くなっており、環境への適応(生態的可塑性)である可能性が示唆された。また、本海域で採取した有殻翼足類L. helicinaの貝殻形態とミトコンドリアDNAのCOI領域を解析し、北太平洋の集団構造解析を行ったところ、オホーツク海と北太平洋の間で遺伝的な差はみられないものの、殻形態のみが異なる(地域的形態変異)ことを明らかにした(Shimizu et al,2021)。上記に関係して日本周辺海域の海洋酸性化についての啓発番組(NHKスペシャル、サイエンスアイ等)に木元が出演し、海洋酸性化と生物影響についての解説を行った(NHK, 2022年7、8月)。また有殻翼足類など微小炭酸塩生物の殻密度をMXCTにより計測する方法論について、国内特許が本年度に認可された(特許第7175462号)。海洋観測用として独自に新規開発したISFET-pH電極を用いたpH/pCO2センサを、沿岸域および外洋域での長期係留観測(数ヶ月~1年)(水深数m~6,000m)に適用するとともに、種々の移動型海洋観測プラットフォームに搭載して観測を実施し、結果を得た。本科研費期間中に、4連ノルパックネットを開発し、従来の定量採集に加えて、飼育用動物プランクトンの採集も同時に行うことが出来るようになった(濵ほか, 2019)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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