研究課題
海綿のタンパク質毒素SORの作用機構を特定するためHeLa細胞に各種小胞輸送阻害剤を加え輸送経路を調べたところ、SORはダイナミン様のエンドサイトーシスで細胞に侵入後、小胞輸送経路を逆行してゴルジから小胞体に移行することで核に自らを送達することを見出した。また核に到達したSORは、アポトーシスに特徴的な染色体の断片化を引き起こしたことから、SORは核に侵入しDNAを破壊することで細胞にアポトーシスを誘導する作用機構であることが示唆された。SORの縮小発現体を作成し、核送達能を持つドメインを探索した。その結果、発現体はいずれも細胞内に侵入する能力を失ったもののタンパク質送達試薬を用いることで、いくつかのドメインが核内に移行することを見出し、SORの核移行ユニットの存在が示唆された.また蛍光ラベル化アッセイで細胞侵襲性タンパク質を探索したところ,新規の海綿由来の新規レクチンRasLが細胞膜を透過後ゴルジ体に送達・局在することを見出した.スナギンチャク由来の水溶性グアニジンアルカロイドKB343はマウスや培養細胞に対して遅効性毒性を示すことから緩やかに細胞を攻略することが窺えた。ケミカルゲノミクス解析を行ったところ,細胞内での小胞体―ゴルジ間の物質輸送やエンドサイトーシスに関連する遺伝子群が標的候補として挙がり,KB343 が細胞内の物質輸送を制御している可能性が示唆された.トロンボポエチン受容体(TPO-R)を強力なアゴニストであるThCは、受容体のN117に結合する糖鎖と結合し、受容体の2量化を促進していることを解明した。これは骨髄性増殖疾患における変異型シャペロンCALRmutの結合部位と同一である。ThCとCALRmutはともに活性化直後のエンドサイトーシスを介したシグナル消失が起こらないことから糖鎖を介した活性化では調整機構が作動せずに細胞がガン化するものと推測された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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