研究課題/領域番号 |
19H03046
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
佐野 元彦 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00372053)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニジマス養殖 / ウイルス病 / 伝染性造血器壊死症 / 強毒化 / 強毒化要因 / 持続感染 / 再活性化 / 親魚ウイルス保有 |
研究成果の概要 |
近年の伝染性造血器壊死症(IHN)ウイルス強毒化の要因を解明することを目的とした。死亡稚魚由来ウイルス株は、その由来系統のニジマス稚魚に強い毒力を示す傾向があり、インターフェロン感受性が低かった。一方、産卵親魚体腔液由来株は多くが弱毒であった。ウイルスの持続感染は、死亡率の低い感染群で発生しやすく、その発生抑制には血中抗体が関与していることが示唆された。産卵親魚は、免疫が低下する産卵直前に再感染することが判明した。従って、毒力の低いウイルス株に感染・耐過した稚魚が養殖育成期間にわたって持続感染を起こすことによって魚体内でウイルスの多様性が生じ、この中から強毒ウイルスが出現するものと考えられた。
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自由記述の分野 |
水族病理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、ニジマス海面養殖は、企業参入が相次ぎ、大きな期待が寄せられているが、依然として伝染性造血器壊死症(IHN)がニジマス養殖に大きな被害を与え続けている。以前は小さな稚魚だけの被害であったが、近年では100g以上の魚も死亡するようになり、ウイルスの強毒化が大きな脅威であり、ニジマス養殖振興にはこの抑制が喫緊の課題である。本研究の結果、今まで想像されていた親魚でのウイルスの変異・強毒化ではなく、死亡の少なかった稚魚群の育成期間にわたる持続感染によってウイルス変異が起きると推察された。これ以上の強毒化阻止には、稚魚期のウイルス接触を防止するとともに、ワクチン等の予防手段の開発が必要と考えられた。
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