研究課題/領域番号 |
19H03047
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80154053)
|
研究分担者 |
芳賀 穣 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (00432063)
坂本 崇 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40313390)
壁谷 尚樹 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (90758731)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 無魚粉飼料 / 無魚油飼料 / ベジタリアン養殖魚 / 持続可能な養殖 / シゾキトリユウム / ドコサヘキサエン酸 / タウリン代謝 / プリン核酸 |
研究実績の概要 |
魚粉を配合しない飼料に、魚油を配合した飼料、エイコサペンタエン酸(EPA)含む微細藻類のナンノクロロプシスの乾燥粉末とドコサヘキサエン酸(DHA)を産生するシゾキトリウムから抽出した油を配合した飼料をブリに給餌した結果、魚油を配合すると魚粉主体飼料と同様の摂餌、成長が得られたが、魚油を配合しないで、シゾキトリユウム由来の油脂単独、あるいはナンノクロロプシス粉末を併用配合した飼料区では、摂餌が不活発となり、成長が劣る結果となった。この結果は昨年度のマダイの結果とは異なり、ブリにおいてはEPA含むナンノクロロプシスの併用効果は見られなかった。つぎに、低魚粉飼料にゴマ油粕を配合した飼料をブリに給餌した結果、摂餌の低下は見られなかったが、成長がやや低下した。また、ゴマミールを配合したブリの可食部は調理後の変色が抑えられる傾向がみられた。これは、ゴマミールに含まれているポリフェノールの影響と考えられる。また、低魚粉飼料に配合するコーングルテンミールの色揚げに及ぼす影響をニジマスとマダイで検討した結果、コーンぐてんみーるに含まれている黄色色素のゼアキサンチン等が赤色色素のアスタキサンチンの沈着と競合し、マダイとニジマスの色揚げに影響を及ぼすことがわかった。さらに低魚粉無魚油飼料をニジマスに給餌すると筋肉中のDHA含量が低下するが、リノレン酸を含む亜麻仁油とプリン核酸を添加した飼料をニジマスに給餌した結果、ピリミジン核酸の添加とは異なり筋肉中のDHA含量が増加しないことがわかった。このことより、ピリミジン核酸が脂肪酸の代謝に影響を及ぼしているのではないかと推察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、マダイにおける無魚粉無魚油飼料の開発にほぼ成功した。一方、ブリでは無魚粉無魚油飼料で成長させることはできたが、魚油飼料に匹敵する成長は得られなかった。今後は、摂餌等の改善を図り、魚油飼料に匹敵する無魚粉無魚油飼料の開発を行う。以上のように、マダイでは一定の結果が得られていることより、おおむね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今までに、ブリにおいて無魚粉無魚油飼料で成長させることはできたが、魚油飼料に匹敵する成長は得られなかった。そこで、成長のよかった魚油配合飼料給餌区のブリと無魚油給餌区の魚の脳のトランスクリプトーム解析を行い、遺伝子発現への影響を検討する。また、今後は無魚粉無魚油飼料の摂餌を促進すると期待される動物性飼料原料のチキンミールや昆虫ミールの配合を試みる。さらに、核酸やタウリンの添加により、より効率の良い無魚粉無魚油飼料の開発を試みる。
|