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2020 年度 実績報告書

月周性産卵魚の概月性を司るタイマー型砂時計の実体と概日時計との関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19H03053
研究機関琉球大学

研究代表者

竹村 明洋  琉球大学, 理学部, 教授 (40222103)

研究分担者 武方 宏樹  琉球大学, 戦略的研究プロジェクトセンター, 特命助教 (60814192)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード月周性 / 時計遺伝子 / ハタ / マスタークロック / 脳下垂体 / 視交叉上核
研究実績の概要

熱帯・亜熱帯の浅海域に生息する魚類の多くは月周性の産卵周期を持ち、月一回の産卵を種ごとに決まった月相で繰り返す。月から得られる周期的な環境情報を約一ヵ月周期の内因性の情報に伝達する機構については不明な点が多い。本研究は、松果体と間脳域(視交叉上核)に着目し、ハタ科魚類の概日時計を司る主時計の局在と概月性を司るタイマー型砂時計の実体の解明を目的として行われた。研究開始2年目にあたる当該年度において以下の結果を得た。特に、時計遺伝子のうちのCryptochrome(Cry)遺伝子に着目し、日周性と月周性の発現変動に関して研究を行った。
(1) ヤイトハタの脳からクローニングしたCry(Cry1, Cry2, Cry3)遺伝子を分子系統解析した結果、本研究で単離された遺伝子は脊椎動物のCryにクラスターされ、ヤイトハタのCry遺伝子と同定された。定量PCRでこれらの遺伝子の組織発現を比較した結果、いずれのisoformも中枢神経(眼球や脳内)に多く発現していた。In-situ hybridizationで遺伝子発現の局在を調べた結果、脳下垂体にCry2の発現が認められた。
(2) 3つのCryのisoformのうち、Cry1とCry2は間脳や終脳において日周変動しており、明期に高く暗期に低くなった。
(3)各月相(新月、上弦の月、満月、下弦の月)におけるCry遺伝子の発現を調べた結果、脳下垂体を含む間脳域においてCry2の日周変動のみが月相間で差が認められ、この遺伝子の発現振幅は新月時に高くなった。以上の結果から、Cry2遺伝子が日周変動と月周変動を繰り返すことが判明し、この遺伝子が月周性の時刻合わせ機構の一端を担っている可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では概日リズムを司る時計遺伝子のクローニングとマスタークロックの部位特定から開始することにしていた。ターゲットにしていたPeriodとCryの両遺伝子の特性を明らかにできていることから、当該年度内に当初目的をほぼ達成した。したがって、本研究は計画通り進んでいると判断する。

今後の研究の推進方策

研究の最終年度では、Period及びCry遺伝子の特性を更に調べるとともに、夜間光操作実験を織り込むことによって本研究の中心課題となる概月時計の発振機構を日周時計の発振機構と比較しながら解明する研究に取りかかる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] KIOST(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      KIOST
  • [雑誌論文] Food availability alters expression profiles of genes in relation to reproduction and nutrition in the females of tropical damselfish (Chrysiptera cyanea)2020

    • 著者名/発表者名
      Mahardini A, Rizki D, Byun JH, Yamauchi C, Takeuchi Y, Takemura A
    • 雑誌名

      Jounral of Experimental Zoology

      巻: 333 ページ: 619-628

    • DOI

      10.1002/jez.2409

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of long-afterglow-phosphorescent pigments on growth stimulation in spinefoot juveniles2020

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi C, Takeuchi Y, Takemura A
    • 雑誌名

      Aquaculture Studies

      巻: 20 ページ: 157-164

    • DOI

      10.4194/2618-6381-v20_1_02

    • 査読あり
  • [学会発表] 月光が操るサンゴ礁生物のリズム2021

    • 著者名/発表者名
      竹村明洋
    • 学会等名
      第42回日本光医学・光生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 光が拓く新たな養殖業2021

    • 著者名/発表者名
      竹村明洋
    • 学会等名
      第5回「農水産業支援技術展」沖縄
  • [学会発表] JST共創の場プロジェクト2021

    • 著者名/発表者名
      竹村明洋
    • 学会等名
      琉大SDGsシンポジウム2020 ~研究から広がるSDGs~
  • [学会発表] 資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サステイナブル陸上養殖プロジェクト2021

    • 著者名/発表者名
      竹村明洋
    • 学会等名
      サステイナブル陸上養殖技術シンポジウム
  • [学会発表] Effect of light and salinity on growth of the malabar grouper Epinephelus malabaricus2020

    • 著者名/発表者名
      Zhu, Y., Morita, N., Negishi, R., Maruyama, S., Kaneko, J., Shimabukuro, A., Takemura, A
    • 学会等名
      The 6th International Conference on Tropical and Coastal Region Eco Development 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] サンゴ礁から学ぶこと2020

    • 著者名/発表者名
      竹村明洋
    • 学会等名
      生物リズム若手の集い2020
    • 招待講演
  • [備考] http://www.takemura-lab.jp

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公開日: 2021-12-27  

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