研究課題/領域番号 |
19H03056
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
吉浦 康寿 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 主任研究員 (90372052)
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研究分担者 |
吉川 廣幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 助教 (40733936)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60263125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ゲノム編集技術 / 代理親魚法 / 不妊化 / トラフグ / メダカ |
研究実績の概要 |
【雄不妊化トラフグの作出】2歳魚となった第一世代のdnai1変異トラフグについて、十分の成熟しておらず、精子を得ることができなかった。飼育を継続し、通常の成熟年齢である3歳魚で精巣の発達に観察するとともに、精子運動能を調べ、不妊化を確認する。 【偽雄作出技術の確立】トラフグのふ化直後から生殖腺の性分化時期までアロマターゼインヒビターの経口投与による雄化処理を行い、その後、遺伝子的な雌でありながら精巣を持つ個体の出現頻度を調べ、遺伝的な雌を雄化する条件を確立した。 【生殖細胞のない不妊化魚の作出】生殖細胞の発生に不可欠なDEAD END(dnd)遺伝子をゲノム編集で欠損し、生殖細胞がないクサフグを作出した。dnd欠損をヘテロに持つクサフグF1の交配でF2を作出し、25%の頻度で出現するdnd欠損(ホモ)クサフグの生殖腺を組織学的に調べ、生殖細胞がないことを確認した。さらに不妊化トラフグの大量生産のため、雌の不妊化が期待できる濾胞刺激ホルモン受容体(fshr)欠損トラフグの生殖細胞(精原細胞)をdnd欠損クサフグに移植した。 【新規不妊化遺伝子の探索】メダカを用いて不妊化につながる候補遺伝子を探索した。卵膜タンパク質であるコリオジェニン遺伝子の欠損メダカを作製したところ、正常に排卵できず、雌の不妊化遺伝子であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
偽雄作出技術の確立および生殖細胞のないクサフグの作出は予定どおり順調に進んでいる。さらに、不妊化トラフグの大量生産のため、fshr欠損トラフグ生殖細胞(精原細胞)のdnd欠損クサフグへの移植も開始した。一方、新規の不妊化遺伝子については、雌の不妊化遺伝子としてコリオジェニンを同定できたものの、雄の不妊化遺伝子を新たに同定できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
雌の不妊化遺伝子は、fshrとコリオジェニンの2つを同定できたが、雄の不妊化遺伝子は未だに同定できていない。そこで、魚類の雄不妊化遺伝子について、哺乳類の雄の不妊化遺伝子の知見をもとに検索する。その中の候補についてメダカをモデルとして、精子形成および受精に関わる遺伝子の欠損体を作製し、不妊化状態を明らかにし、本課題の中で、少なくとも雄の不妊化遺伝子を1つ同定することを目指す。
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