研究課題/領域番号 |
19H03063
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 光義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40261747)
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研究分担者 |
西川 邦夫 茨城大学, 農学部, 准教授 (00726820)
品川 優 佐賀大学, 経済学部, 教授 (10363417)
渡部 岳陽 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10371014)
伊庭 治彦 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70303873)
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 農業構造 / 構造政策 / 担い手 / 集落営農 / 水田農業 / 農地政策 / 都市農地 / 農地中間管理機構 |
研究実績の概要 |
2020年農林業センサスの公表を受けて、センサスを用いた農業構造の変動を明らかにする分析に着手するとともに、現地実態調査を可能な範囲で実施し、その成果を公表した。 センサス分析からは、担い手への農地集積の速度は上がっているものの、農地面積のペースが高まっており、日本農業は全体として縮小再編の様相を強めていることが明らかになった。地域別では次のような成果を挙げることができた。 条件不利を特徴とする中山間地域において企業の農業参入が地域の農業構造に与える影響を検証し、企業の農業参入は地域農業の維持に貢献することができ、地域の農業者との協力関係の構築が企業の農業経営の効率化および事業継続に重要である一方、企業の農業参入が地域内の離農傾向を強める可能性があることを明らかにした。 センサスを用いて北海道・北関東・瀬戸内・南九州について二毛作を中心とした水田利用の実態を整理するとともに、新潟県を対象に園芸(枝豆)の普及状況と課題を明らかにし、水田利用の一形態としての米輸出の実態と課題について歴史と実態の両面からアプローチを行った。 都市農地貸借円滑化法の下での都市農業の今後の方向性について検討を行うとともに、構造政策の中心となる農地中間管理事業の静岡県における実施状況をセンサスにみる農業構造変動を関連づけながら分析を行った。 枝番管理型集落営農が展開した宮城県加美郡と佐賀県白石町を対象に比較分析を行い、集落営農の変化と農業構造変動について考察し、加美郡では「実質的」両極分解、白石町では中・大規模個別経営体の成長という違いを検出した。前者では集落営農脱退後に両極分解が進行したのに対し、後者では脱退した構成員の多くが後継者を確保した水田複合経営であり、彼らが層として経営発展・規模拡大を進めたことを実態調査を通じて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公表された2020年農林業センサスを使った分析を行うことで一定程度の成果を挙げることができた。コロナ禍ではあったが、各研究分担者が可能な範囲で現地調査等を行い、着実に研究成果を積み上げていると考える。ただし、コロナウイルス感染拡大防止のため共同調査を実施することはできなかった。また、構造変動と大きく関係する構造政策、農地制度に関する研究を行うよう努めた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年農林業センサスを用いた分析をさらに深めること、特に地域別(都道府県別)、市町村別の動向を明らかにし、そこで生じている構造変動を現地実態調査を通じて確認・把握するという作業を行うようにしたい。 米価下落が進む中、その影響が如実にあらわれると思われる小作料(地代)の動向が構造変動にとって重要な意味を有しているので、この点についても配慮を行っていきたい。 農業経営基盤強化促進法の改正など政策的環境も変化してくるので、この点を意識した調査を実施できればと考えている。
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