研究課題/領域番号 |
19H03069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 貢士 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20420226)
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研究分担者 |
牧 雅康 福島大学, 食農学類, 准教授 (50375391)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
乃田 啓吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60646371)
増冨 祐司 国立研究開発法人国立環境研究所, 気候変動適応センター, 室長 (90442699)
黒田 久雄 茨城大学, 農学部, 教授 (20205256)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 農業被害 / 気象災害 / 農業保険 / 適応計画 |
研究実績の概要 |
本研究では農業分野における天候インデックス保険の普及可能性評価を念頭に,被害算定をベースに,いつ,どこで,どのような災害が発生し(災害予測),どのようにその被害を回避または軽減すべきか(適応策)という情報を提供することを目的としている.具体的には,天候インデックス保険における設計手法の精緻化を検討すると共に,ユーザーである農家の生計戦略とリスク回避行動に重点を置いて,より剛健な生産戦略を構築する.またそのためには,将来の気候変動による不確実性を考慮に入れたリスク推計も重要となるため,現地調査により得られた適応行動の情報に基づき,地域ごとの環境許容量に応じた適応策を提案する必要がある. 上記の目標を達成するため,本年度はサブテーマ毎に以下の調査研究を実施した。 <サブテーマ①>降水の季節内変動と農事暦の評価では東南アジア地域の降雨変動特性を評価した。また,インドシナ半島中央部における気象観測データを収集し,水文統計データベースを構築した. <サブテーマ②>リモートセンシング技術を用いた被害乖離の空間分布推定では,衛星画像とリモートセンシング技術により土壌の塩類化の空間分布推計を行い、土壌ECマップを作成した. <サブテーマ③> 水・作物生産統合モデルを用いたインデックス評価では,これまでに構築した作物生長モデルに地形モデルを結合し,タイ国全土における県別の農業統計データの再現計算を行った. <サブテーマ④>農村における生計戦略分析と保険有効性の評価では,気象観測データおよび農家アンケート調査により,農家の気候変動に対する認識と実際の渇水発生頻度に関する比較分析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はコロナ禍のため現地調査およびワークショップを実施することができなかったものの、インドシナ半島における気象データベースの構築や、2019年度に実施したタイ東北部コンケン県における現地調査において収集したデータの分析を行い、当初計画していた土壌塩類マップの作成や気候変動影響に対する農家の意識調査について分析を行い、タイ東北部の気象条件と農業被害の状況に関する概要を把握することができた。また、タイ国全土を対象としてコメ生育モデルを構築し5㎞メッシュでの再現計算が可能となり、気候変動影響評価の下準備を整えることができた.加えて、本年度の研究論文や成果発表の状況を鑑みて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は最終年度であるため、2020年度に実施できなかったワークショップと最終調査を行うことを計画している。参加者として想定している農家や農業普及員から得られた情報を統合し、現地の栽培実態や適応行動に即したモデルシミュレーションを行うことにより、将来気候下における農業被害額の推計を行う。
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