研究課題
我々の先行研究の結果,rCsを低濃度で含む灌漑水の流入は,水口イネへのrCs移行に直接的,間接的に影響することが明らかになってきた。本研究では,灌漑水中の137Csに焦点をあて,その存在形態を追究することに加えて,水田流入後の懸濁態及び溶存態137Csの挙動を調べ,またイネへの137Cs吸収へと至るメカニズムを明らかにすることで,水田における「水→土壌→イネ」に至る137Csの動態を理解することを目的としている。2019年度は,灌漑水由来137Csの挙動調査を福島県浜通り地域の3地区で行い,灌漑水中の溶存態及び懸濁態137Cs濃度の季節変動や経年変化を明らかにした。137Csをほとんど含まない新潟土壌を充填した模擬水田でイネ栽培試験を実施し,灌漑水とともに流入する137Csの沈着を2次元で示した。また,トレーサー実験で137Csはイネの基部からも体内に移行し,収穫時には籾に分布することを確認した。2020年度は,現地水田圃場にて灌漑用水路から流入する懸濁物質をトラップで回収し,水田へ付加される137Cs量を推定し,また水路内植生と水田に流入した懸濁物質の関係について検討した。またポット実験にて,表層付近の137Csがより深い位置にあるものよりイネに吸収され易いことを明らかにした。2021年度はこれまでの小課題を継続するとともに,灌漑水由来137Csのイネへの移行低減対策として,水口への沈砂桝設置効果の検証を行った。また,2019年度と同様に現地に137Csをほとんど含まない新潟土壌を充填した模擬水田を2つ設置してイネ栽培試験を実施した。この際一方にのみ水口に沈砂桝設置することで,灌漑水に含まれる溶存態137Csと懸濁態137Csのどちらがより土壌やイネの137Cs濃度に大きな影響を与えるかを比較した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry
巻: Accepted ページ: Accepted
耕
巻: 150 ページ: 35-40