• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

作物モデル及びドローンデータを用いた水稲病害による減収リスク評価手法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 19H03078
研究機関千葉大学

研究代表者

本郷 千春  千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (20272354)

研究分担者 牧 雅康  福島大学, 食農学類, 准教授 (50375391)
本間 香貴  東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード減収リスク / 水稲病害 / UAVデータ / 衛星データ / 作物モデル
研究実績の概要

本研究では、作物モデル、リモートセンシングデータ、現地実測疫病調査データを用いて、イネ病害の発病確率判定手法の構築、発生徴候の検出、病害発生による減収リスク評価手法を構築することを目的としている。今年度はコロナ禍でインドネシアに渡航出来ない事から、宮城県古川農業試験場の協力の下にいもち病の発生徴候の検出及び収量推定に取組んだ。得られた結果は以下の通りである。
①UAV・マルチスペクトル画像の各バンドデータ及びNDVIといもち病病斑数を時系列で解析したところ、7月後半にかけて青、赤、近赤外、NDVIとの重相関係数が高くなる傾向が見られ、赤バンドを説明変数とした1%水準で有意な病斑数推定式が求められた。得られた推定式を全UAV画像に適用して結果の可視化を行ったところ、モニタリング調査から得られたいもち病罹患場所の広がりと類似した結果が得られた。
②ドローン・熱赤外画像からいもち病発生の徴候を検出する可能性について検討した。熱画像と病斑数との関係を解析した結果、罹患及び非罹患箇所の表面温度との間には有意な関係は見られなかった。この理由として、曇天下で撮影した画像であったことから蒸散量に顕著な差が現れていなかった事、罹患箇所のサイズに対して画像の解像度が十分でなかったことが考えられた。一方、トウモロコシではアワノメイガによる食害により葉の温度が上昇している部位を熱画像から確認できた。温度上昇により葉の形状を認識できるため露出した土壌や生育斑などによる温度分布斑とは区別することができ、RGB画像と比較すると視認性が向上することを確認した。
③いもち病感染による水稲収量への影響評価に用いる作物モデルSIMRIW-RSは、入力値であるNDVIと良く適合し本手法により収量推定が可能であることが示された。推定された収量はいもち病感染源に近い場所で低下する傾向を示し、病害の影響との関連性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍の影響により、今年度は宮城県古川農業試験場の水田圃場において、いもち病の発生徴候の検出及び収量予測に取組み、一定の成果が得られた。加えて、インドネシア側の研究協力者にデータ取得方法に関するオンライン研修を継続して行うことで、BLB罹病程度の解析に必要なデータを取得することが可能となり、現在衛星データを加えた解析を行っているところである。また、今年度のデータの解析を通して、得られた成果の一部は、以下の論文において発表済みである。
・Yuti Giamerti, Chiharu Hongo , Daiki Saito , Oliver Caasi , Pepi Nur Susilawati, Masahiro Shishido , I Putu Sudiarta, I Made Anom Sutrisna Wijaya , Koki Homma, "Evaluating Multispectral Imaging for Assessing Bacterial Leaf Blight Damage in Indonesian Agricultural Insurance" E3S Web of Conferences, 2021, Vol. 232, 0300.
doi: 10.1051/e3sconf/202123203008
・中村航太,本間香貴,叶戎玲,牧雅康,本郷千春,熱赤外カメラ搭載UAVを用いた虫害検出の検討.第251回日本作物学会講演会,京都大学(オンライン),2021年3月29・30日
・渋谷祐人・本郷千春・祖父江侑紀・Gunardi Sigit・Baba Barus:インドネシアにおける多時期Sentinel-2 データを用いたイネ白葉枯病被害率の推定,日本リモートセンシング学会第69回学術講演会,P7-8、オンライン開催、2020年12月21日

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年3月から研究サイトであるインドネシアへの渡航が出来なくなった。そこで、2020年度は研究活動サイトを国内に設定して古川農業試験場の協力の下に当初の研究を実施した。2021年度も同様に圃場試験を実施する計画である。
具体的には、試験圃場においていもち病のモニタリグ試験を行う。5月に田植えを行い、6月中旬にいもち病病菌を植え付ける。6月~9月下旬まで定期的に病斑数のカウント、UAV画像の取得(マルチスペクトラル画像、熱赤外画像)、9月上旬の収穫期には収量の計測を行う。取得したデータを用いて、発病程度と各波長帯の反射特性の関係を明らかにし、UAVで取得したリモートセンシングデータによる発病確率判定指標を作成する。UAVリモートセンシングデータと収穫期の現地調査データから推定した最終収量との関係を調べ、罹病時期別に減収程度を特定する。
また、国内での研究活動と並行して、インドネシア側の研究者の協力の下に、BLB罹病程度の解析に必要なデータ取得を継続して行い、衛星データ及びUAVデータを加えた解析を行う計画である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Bogor Agricultural University/Food Crop & Horticulture,West Java Prov.(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      Bogor Agricultural University/Food Crop & Horticulture,West Java Prov.
  • [雑誌論文] Evaluating Multispectral Imaging for Assessing Bacterial Leaf Blight Damage in Indonesian Agricultural Insurance2021

    • 著者名/発表者名
      Giamerti Yuti、Hongo Chiharu、Saito Daiki、Caasi Oliver、Nur Susilawati Pepi、Shishido Masahiro、Sudiarta I Putu、Sutrisna Wijaya I Made Anom、Homma Koki
    • 雑誌名

      E3S Web of Conferences

      巻: 232 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1051/e3sconf/202123203008

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Transplanting Date Estimation Using Sentinel-1 Satellite Data for Paddy Rice Damage Assessment in Indonesia2020

    • 著者名/発表者名
      Manago Naohiro、Hongo Chiharu、Sofue Yuki、Sigit Gunardi、Utoyo Budi
    • 雑誌名

      Agriculture

      巻: 10 ページ: 625~625

    • DOI

      10.3390/agriculture10120625

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 水稲圃場におけるUAV観測時の日射条件を考慮した機械学習によるLAI推定手法の検討2020

    • 著者名/発表者名
      橋本 直之、齋藤 裕樹、山本 修平、牧 雅康、本間 香貴
    • 雑誌名

      日本リモートセンシング学会誌

      巻: 40 ページ: 87~96

    • DOI

      10.11440/rssj.40.87

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シミュレーションモデルとリモートセンシングを用いた作物生産量推定法の検討.第4報 病害虫の検出と影響評価の試行2021

    • 著者名/発表者名
      本間香貴・ロイ秋治・叶戎玲・中村航太・宮野法近・佐々木次郎・Iskandar Lubis・牧雅康・本郷千春
    • 学会等名
      第23回環境リモートセンシングシンポジウム
  • [学会発表] Sentinel-1/2の時系列衛星データを用いた仙台沿岸部農家圃場における水稲の生育評価に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      細沼航平,石橋多郎,伊藤塁人,齊藤裕樹,橋本直之,山本修平,本間香貴,牧雅康
    • 学会等名
      第251回日本作物学会講演会
  • [学会発表] 熱赤外カメラ搭載UAVを用いた虫害検出の検討2021

    • 著者名/発表者名
      中村航太,本間香貴,叶戎玲,牧雅康,本郷千春
    • 学会等名
      第251回日本作物学会講演会
  • [学会発表] インドネシアにおける多時期Sentinel-2 データを用いたイネ白葉枯病被害率の推定2020

    • 著者名/発表者名
      渋谷祐人・本郷千春・祖父江侑紀・Gunardi Sigit・Baba Barus
    • 学会等名
      日本リモートセンシング学会第69回学術講演会
  • [学会発表] インドネシアにおける水稲の水害損害評価のための作付日推定2020

    • 著者名/発表者名
      眞子直弘・本郷千春・若林裕之・Boedi Tjahjono・Sitaresmi Dewayani
    • 学会等名
      日本リモートセンシング学会第69回学術講演会
  • [学会発表] Evaluating Multispectral Imaging for assessing Bacterial Leaf Blight Damage In Indonesian Agricultural Insurance2020

    • 著者名/発表者名
      Yuti Giamerti, Daiki Saito, Pepi Nur Susilawati, Koki Homma, Chiharu Hongo, Oiver Caasi, Masahiro Shishido
    • 学会等名
      International Conference on Agribusiness and Rural Development
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi