研究課題/領域番号 |
19H03084
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
丸山 篤志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (90355652)
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研究分担者 |
日下 博幸 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (10371478)
佐々木 華織 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (50355278)
寺谷 諒 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 研究員 (60781698)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 領域気象モデル / 熱収支 / 水田 / 気候変動 / ヒートアイランド / 蒸発散 / 土地利用 / 陸面過程モデル |
研究実績の概要 |
農地における作目の変更や温室の設置あるいは耕作放棄などの利用形態の変化は、地表面の熱収支の変化を通じて周辺の熱環境に影響を及ぼす。近年、全国各地で農地の利用形態が大きく変化しており、その動態は周辺農地だけでなく、居住地域も含めた広域の熱環境にも影響を及ぼしている可能性がある。そこで本研究では、都市気象学分野で発達した領域気象モデルを農耕地に適用・改良し、農地動態が広域熱環境に及ぼす影響を定量的に評価できる新たな手法を開発することを目的とする。 令和3年度は、陸面-大気間の熱交換過程を含む領域気象モデルを、日本国内の農地を対象に適切に利用できるようにするための各種解析およびデータ作成を行った。すなわち、①昨年度までに開発した農地動態の推定手法に基づいて、関東地方を対象に、過去(1976年)および現在(2016年)の土地利用について農地の細分類を行ったデータセットを作成した。次に、②細分類された農地の各カテゴリー、具体的には田、転換畑、畑、果樹園等、ハウスについて、陸面過程モデルでの計算に必要とされる地表面の熱力学的なパラメータを決定した。熱力学的なパラメータは、放射に関するパラメータ、空気力学的なパラメータなど、その物理過程ごとにまとめて扱うことで、各カテゴリーとパラメータとの対応関係を整理した。同時に、これら熱力学的パラメータ決定に必要な熱環境観測について、昨年度までに開発された測定手法の改良によって、その適応範囲を電源の確保できない遠隔地やハウス等に拡張することができた。さらに、③上記で作成された過去および現在の土地利用のデータセットおよび各カテゴリーの地表面パラメータを用いて、領域気象モデルによる地上気温のシミュレーションを予備的に実行し、農地動態が周辺熱環境に及ぼしている影響を仮評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各種農地における地表面パラメータの決定については、昨年度までの課題であった水田以外のパラメータの決定が順調に進み、本研究に必要な全ての土地利用カテゴリーをカバーすることができた。また、過去の土地利用動態について農地を細分類したデータセットの作成が飛躍的に進み、関東地域を対象に当初予定していた試行版ではなく最終版のデータセットが完成した。以上から総合的に「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
各土地利用カテゴリーに対して決定した地表面パラメータについては、領域気象モデルによるシミュレーション結果も参考にして、必要に応じてパラメータの改良・調整を行う。農地を細分類したデータセットについては、関東地方に引き続き、全国各地のデータセットを整備する。過去と現在を対象に、気候の変化の有無および土地利用の変化の有無に対して計4種類の条件における熱環境のシミュレーションを実行し、その結果を解析することで、農地動態が周辺熱環境に及ぼしている影響を明らかにする。
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