研究課題/領域番号 |
19H03098
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中島 泰弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 上級研究員 (10354086)
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研究分担者 |
秋山 博子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, ユニット長 (00354001)
江口 定夫 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, ユニット長 (30354020)
鈴木 克拓 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (90354068)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 硝酸イオン / 亜酸化窒素 / 窒素安定同位体 / 酸素安定同位体 |
研究実績の概要 |
I. 降下物由来Δ17O安定同位体自然存在比を用いたN2Oの動態解析手法の確立:微生物培養、土壌培養、圃場試験を行った。本年度は、1. 微生物由来N2OのΔ17O-N2Oプロファイル作成(中島)(硝化菌・脱窒菌・脱窒カビ等単離微生物の培養によって生成されたN2OのΔ 17Oを測定し、反応物のΔ17Oとの関係を求める)、2. 土壌スケールでのN2Oの窒素源(由来物質)解析手法の確立(中島)(降下物由来Δ17Oを用 いて土壌培養試験を行い、N2Oの窒素源(由来物質)解析手法の適用性を確認する)、3. 圃場スケールでの亜酸化窒素の動態解析(中島、秋山)( 三酸素同位体他の安定同位体分析から亜酸化窒素の発生源の推定を行った。 II. 降下物由来Δ17O安定同位体自然存在比を用いた硝酸イオンの動態解析手法の確立:鉾田川流域での観測を主に実施した。逆川および鉾田川流域内の地下水中NO3-N濃度と窒素及び酸素安定同位体比(δ15N、δ18O、Δ17O)の分布を明らかにすると共に、他の流域(筑波山麓の水田流域)との比較・検討を行った。降下物由来のΔ17ONO3値とδ18ONO3は一定の比をとることを利用し、Δ17ONO3-δ18ONO3プロットの混合ラインからのずれから脱窒によるδ18ONO3変化を求め、窒素源の15NNO3、δ18ONO3およびΔ17ONO3値を求め、エンドメンバー法で地下水中NO3-のN源の寄与率を求めた。これらの結果をもとに、次年度以降添加する窒素源のΔ17Oアノマリーレベルを決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度に安定同位体分析に必須のヘリウムガスが世界的な供給の逼迫で調達が困難であったところ、さらにヘリウムガス漏れによって在庫が不足し、改修した安定同位体分析装置の動作確認をすることができなくなった。その後ヘリウムガスは入荷されたが必要量より不足しており、安定同位体分析装置の確認に時間を要した。研究遂行上、土壌培養時に安定した安定同位体分析装置の稼働が不可欠なため、土壌培養を延期して実施する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
I. 降下物由来Δ17O安定同位体自然存在比を用いたN2Oの動態解析手法の確立:圃場由来のN2O採取・安定同位体分析を確実に行うための予備実験を行う。採取した気体試料について亜酸化窒素濃度および窒素(δ15N)・酸素(δ18O・Δ17O)安定同位体自然存在比の分析を行う。各エンドメンバーを元にN2Oの生成プロセスおよびN源の寄与率を算出する。 II. 降下物由来Δ17O安定同位体自然存在比を用いた硝酸イオンの動態解析手法の確立:本引き続き1. 土壌スケール(中島)、2. 圃場スケール(中島、鈴木)、3. 流域スケールでの硝酸イオンの動態解析((a)逆川および(b)鉾田川)での観測を行い、硝酸イオンの脱窒量の推定を行う。降雨時に暗渠流出水を経時的に採取し、採取した水試料について硝酸イオン濃度および窒素(δ15N)・酸素(δ18O・Δ17O)安定同位体自然存在比の分析を行う。化学肥料、堆肥、降下物の各エンドメンバーを元に地下水中NO3-のN源の寄与率を算出する。
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