研究課題/領域番号 |
19H03109
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
水野谷 航 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (20404056)
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研究分担者 |
小宮 佑介 北里大学, 獣医学部, 講師 (80791665)
澤野 祥子 麻布大学, 生命・環境科学部, 准教授 (60403979)
良永 裕子 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (50192539)
齊藤 千佳 麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (40765236)
竹田 志郎 麻布大学, 獣医学部, 講師 (40710223)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食肉 / 骨格筋 / 筋線維タイプ / 遅筋 / 速筋 / おいしさ / 呈味性化合物 / 牛肉 |
研究実績の概要 |
食肉を構成する主要な組織である骨格筋は、代謝能力と収縮能力が異なる遅筋タイプと速筋タイプの筋線維(筋細胞)がモザイク状に配置され、これら遅筋と速筋線維の組成によって種々の特性が変わる。筋収縮機能のような生理学的特性と筋線維タイプの関係性はよく調べられているが、食肉の特性との関係性についてはあまり分かっていない。本研究では、食肉の筋線維タイプと消費者にとって重要な「食肉のおいしさ」に関連する特性(官能評価、呈味性化合物レベル、硬さ、保水性)との関係性を明らかにし、筋線維タイプを解析すれば「食肉のおいしさ」がある程度予測できるよう、食肉の新規知見の蓄積を目指している。 今年度は、国内で入手できるウシ、ブタの品種のロース41試料の筋線維タイプ組成をSDS-PAGE法で、さらに試料のpHと色調および硬さを本予算で購入したWarner-Bratzler剪断力価計を用いて測定した。次年度も引き続き検体数を増やし統計的な信頼性を増す予定だが、筋線維タイプとの相関性はある程度期待できる結果であった。 さらに、我々は牛肉を用いて、味覚センサー応答と筋線維タイプ組成との相関性を調べ、その結果、特定の風味を示すセンサー応答と遅筋タイプ組成の間に有意な相関性があることを見出した。また、筋線維タイプと関連のある呈味性化合物の新規発見を目指し、牛肉熱水抽出物のHPLCによる分画を行った。現在まで分離に適した条件を見出すことに成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
筋線維タイプと食肉の種々の特性については当初の予定通り、順調に解析が進められている。また味覚センサー応答の結果は、当初の予想以上に、統計上明確な相関性を見出すことに成功し、論文発表の準備を進めている。さらに、「食肉のおいしさ」を解明するのに必要な、食肉に含まれる呈味性化合物の分画を進め、多くの条件検討の結果、十分な分離を達成できるカラムと移動相を発見するに至った。以上が当初の計画以上に順調と判断した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国内外で入手できるウシ、ブタの筋線維タイプ組成と各種の理化学的特性についてデータを収集し、多変量解析を実施し、各要因に及ぼす筋線維タイプの影響を評価する。牛肉以外の畜肉を用いて、引き続き、味覚センサー応答も進める。牛肉熱水抽出物のHPLCによる分画から、分画物の成分分析を行う。
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