研究課題
本年度は、主に2つの調査・解析を試みた。具体的には、(1)タウリン中枢投与による体温及び摂食行動への影響、(2)NPYY5-7受容体を発現させた哺乳類細胞の作製とシグナル伝達系解析を試みた。その結果、(1)ニワトリヒナへのタウリン中枢は熱的中性圏では低体温と摂食抑制を誘起した。またこのとき、中枢においてノルアドレナリンの代謝産物が減少することが認められた。このタウリン誘発性低体温はGABA受容体拮抗剤によって抑制されることが明らかとなった。一方、暑熱環境下ではタウリン中枢投与による摂食抑制は見られるものの高体温となることが示された。(2)ニワトリY5, Y6, あるいはY7遺伝子のC末端側にGFPあるいはHISタグを導入したコンストラクトを作製し、それらをHEK293細胞に一過的に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡により細胞内局在を解析したところ、いずれの受容体も細胞膜に発現が見られた。次に、NPYがY5-Y7受容体を発現させたHEK293細胞において、どの様なシグナル伝達系の変化を引き起こすのかを解析した。フォルスコリンとNPYの同時投与を行った結果、NPYはY5受容体を介してcAMP発現上昇を抑制する傾向が見られた。
2: おおむね順調に進展している
推察される体温低下機構についてはおおむね明らかとしたこと、Y5-Y7の細胞内シグナル伝達系解析の準備が整い機序解明に向けた準備はほぼ終了している。
Y5-Y7の細胞内シグナル伝達系を解析する系が構築できたので、2年度目はcAMPやその他のシグナル伝達系について解析を進める。また、初代神経細胞を磁気細胞分離技術により単離する手法をマウスで確立したので、本技術を応用してニワトリの神経細胞を単離・培養する準備を進める。シグナル伝達解析で得られた結果をもとにニワトリ生体内での反応を並行して解析する予定である。
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Animal
巻: - ページ: -
eLife
巻: 8 ページ: -
10.7554/eLife.45306
Scientific Reports
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-019-52301-7