研究課題/領域番号 |
19H03111
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
櫻井 敏博 奥羽大学, 薬学部, 准教授 (70568253)
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研究分担者 |
草間 和哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (30579149)
唄 花子 北海道大学, 農学研究院, 助教 (60775443)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生体外モデル樹立 / 着床成立 / PBMC / 子宮オルガノイド |
研究実績の概要 |
1年目の目的は、着床成立に関与する事象の抽出を行い、これまでに樹立していた着床モデルを用いて、子宮灌流液におけるパラクリン作用、胚と子宮上皮細胞とのジャクスタクリン作用、子宮灌流液中のエクソソームを介した作用のそれぞれで、どの作用がどの事象を担っているのかを検討することであった。また、子宮内膜上皮および間質細胞の不死化を行い、三次元培養法の確立を行うことであった。 着床成立に関与する事象の抽出を行い、パラクリン作用、ジャクスタクリン作用、エクソソームによる作用のそれぞれとの比較を行い、それぞれの作用による誘導因子群を同定した。 子宮内膜上皮および間質細胞に不死化ベクターを導入し、スクリーニングを行った後、不死化細胞を樹立した。これら不死化細胞を使用し、三次元培養の樹立を行った。三次元培養法は現在も引き続き行っている。着床を再現する生体外モデルに耐えうるオルガノイドの作成は、未だ樹立できていない。 また、末梢血単核球(PBMC)の子宮内移植による胚移植時の受胎率向上作用が、どのようなメカニズムで行われているか検討するために、非妊娠牛からPBMCを単離した。単離PBMCをFBS含有あるいはFBS添加無しの培地で24時間培養した後、mRNAを抽出した。このサンプルを用いて、マイクロアレイ解析を行い、PBMCに発現している遺伝子の中で胚の伸長に寄与する因子を同定した。今後、得られたデータをもとに、胚への影響を解析するとともに、着床モデルを用いて、受胎成立の評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初では、生体外モデルを再構築するために、子宮オルガノイドの作製を行っているはずであったものの、不死化細胞の樹立に時間がかかってしまい、子宮オルガノイドの作製に未だとりかかれていない。子宮オルガノイドの樹立を早急に行う必要がある。 また、in vivoにおいて着床成立時に起こるウシ胚および子宮内膜における遺伝子変化と、子宮灌流液を処置したウシトロホブラスト細胞株および子宮上皮細胞における遺伝子変化との比較、着床モデルを用いたウシトロホブラスト細胞株と子宮上皮細胞とのジャクスタクリン作用によって誘導される遺伝子変化との比較、ならびにエクソソーム処置した子宮上皮細胞における遺伝子変化との比較を行い、どの作用がどの遺伝子を誘導するかの抽出は終わっている。そのため、in silico解析においては、おおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoでの着床成立時における遺伝子変化とin vitroでの各作用における遺伝子変化の比較検討において得られた情報を、再現できていない遺伝子発現変化について、どのような作用によって遺伝子が発現されるのか、さらにin silico解析により精査していく。 PBMCのマイクロアレイ解析で得られた胚の伸長に関与する因子(群)のリコンビナントタンパク質あるいは培養上清(コンディションメディウム)を用いて、それらの因子が着床成立にどのように寄与するのか、ウシトロホブラストCT-1細胞株、樹立したウシ子宮不死化細胞および着床モデルを用いて検討していく。そして、それぞれの細胞でどのような遺伝子変化が起きているか、マイクロアレイ解析を行っていく。 また、着床モデルの改良のための子宮オルガノイド作製を引き続き行っていく。その際、オルガノイド作製に長けている先生方の助言を得る。
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