本年度は主に、昨年度と同様にマダニ由来ウイルスについての性状解析を実施した。特に、Yezoウイルスを対象とした性状解析ならびに野外調査を実施した。北海道内のマダニから検出したYezoウイルスとは異なる新規オルソナイロウイルスの分離培養には至らなかったものの、マダニ虫体から摘出した組織をそのまま培養するex vivo培養法を用いることで効率的にその他のウイルスを増殖させることができることを見出した。なお、Yezoウイルスの調査については、他研究費との連携により効率的に展開した。さらに、他研究費との連携によりコンゴ民主共和国でのマダニ採集を実施した。昨年度と同様に、マダニから分離培養された各微生物については、遺伝情報解読と病原性解析の2つの性状比較解析を実施し、マダニから検出された各微生物は、サンガーシークエンサーと次世代シークエンサーを併用して遺伝子配列を解読した。さらに、これまでに収集あるいは分離培養したウイルスについて、実験動物を用いて病原性の検討を実施した。昨年度および今年度得られた結果を用いて、微生物のプロファイリングに用いることができる基礎的データを収集し、各微生物について塩基配列およびアミノ酸配列に基づいて病原性を推定する方法を検討した。特に日本国内においては、各地域のマダニから検出されたものの分離培養できなかったウイルスについて、全長塩基配列の解読を試み、他のウイルスの性状解析で得られた結果と合わせて解析を実施した。
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