研究課題
本研究はバベシアのマダニ体内発育ステージに特異的な細胞表在性蛋白質を網羅的に検出し、その機能を解析するとともに伝搬阻止ワクチン(TBV)抗原としての性能を評価することを目的とする。2020年度は私達の研究グループが独自に開発したin vitro誘導法(PubMed ID: 1549158)で作製したバベシア オバタ(Babesia ovata)マダニ体内発育ステージ(誘導後72時間サンプル)についてRNAシーケンス(RNA-seq)をおこない予備データを取得した。作製したマダニ体内発育ステージ誘導培養からRNAを抽出して、逆転写反応の後、次世代シーケンサーにて大規模シークエンスをおこない、このステージで発現している遺伝子のデータセットを取得した。このデータセットを以前に実施したウシ体内(赤血球型)でのRNA-seqのデータセットと定量的に比較解析した。その結果、マダニ体内発育ステージで有意に発現が上昇している約400の遺伝子を同定した。この中にはDNA合成に関連する遺伝子が多く含まれ、サンプリング(誘導後72時間)のタイミングで出現することが形態学的な観察から予想されていた、Ray bodyなどの無性増殖ステージの存在を裏付ける結果になった。現在、当該遺伝子のシグナル配列やアンカー配列の有無などの情報を加味して、データセットの再解析をおこなうことで、TBVの候補となる表在性蛋白質遺伝子の同定を進めている。また、マダニ体内発育ステージの初期で発現する遺伝子のデータセットを取得する目的で、誘導後6時間のサンプルについてRNA-seqをおこなう準備を進めている。
3: やや遅れている
予備的なRNAシーケンス実験のデータから、サンプル採取時期に起こるマダニ体内ステージの分化について興味ある結果を得ることができたが、TBV候補の同定には至っていない。
現在、当該データセットの再解析をおこなうことで、TBVの候補となる表在性蛋白質遺伝子の同定を進めている。また、マダニ体内発育ステージの初期で発現する遺伝子のデータセットを取得する目的で、誘導後6時間のサンプルについてRNA-seqをおこなう準備を進めている。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
mSphere
巻: 4 ページ: e00109-19
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https://www.obihiro.ac.jp/facility/protozoa/
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