研究課題/領域番号 |
19H03121
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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研究分担者 |
茅野 光範 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20590095)
相内 大吾 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (50552783)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 犬糸状虫 / ヤブカ |
研究実績の概要 |
本研究では、どのようなメカニズムで犬糸状虫が蚊の体内で成長し、蚊によって媒介されるのか、そのメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目指す。こ のような解析をもとに、犬糸状虫を媒介しない蚊によるフィラリア症の制御法の確立に寄与することを目指す。 本年度は年次計画に従い、前年度までの研究によって犬糸状虫抵抗性に関与すると推定された免疫関連遺伝子のノックアウト蚊の作製を試みた。犬糸状虫抵抗性および感受性表現型のネッタイシマカ両系統においてCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集法によりノックアウト系統の作出に成功した。各系統において犬糸状虫感染表現型の解析を行った。感受性株ではノックアウトにより感受性の増加が期待されたが、予想に反し抵抗性が高まる結果が得られた。抵抗性系統においても犬糸状虫の発育抑制が増加する結果が得られた。以上の結果から 対象遺伝子は犬糸状虫に対する免疫において重要な働きを担うが、ノックアウトにより補完的に他の遺伝子の誘導が起こることが明らかとなった。来年度においてノックアウト蚊のRNA-Seq解析を行うことで更なる重要な遺伝子の同定を試みる。 GFPをレポーターとしてバキュロウイルスによるトランジェント強制発現実験系の構築を試みた。各種プロモーターをクローニングしレポーターアッセイを行ったところ、2遺伝子のプロモーターの利用によりヤブカにおいて外来遺伝子を強制発現可能なことが確認された。来年度において表現型解析を行う予定である。 抵抗性系統と感受性系統のヤブカを交配しF1・F2世代の犬糸状虫感染表現型の解析を行ったところ、抵抗性表現型が遺伝することを発見した。すなわち、ゲノムの比較解析により抵抗性メカニズムの解明が可能であることを示唆する結果であった。今後、ゲノム比較解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ターゲット遺伝子ノックアウト蚊の作製と表現型の解析、バキュロウイルス強制発現系の構築、抵抗性表現型の遺伝の発見などに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた結果に基づき更なる解析を進めることで、犬糸状虫媒介メカニズムを解明することを目指す。
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