研究課題
ミオシンのリン酸化はミオシン軽鎖キナーゼとミオシンホスファターゼ(MPPase)の活性バランスにより調節される。MPPase活性はPKC/CPI-17経路とROCK/MYPT1経路という二つの負の制御経路の調節を受けるが、これらの経路の生体内での生理・病態生理学的役割は依然不明である。CPI-17は38位のThr残基のリン酸化によりMPPaseと結合しMPPase活性を阻害することが判っている。そこで本研究ではCPI-17に着目し、その欠損マウス(KO)、Thr38をAlaに置換した非リン酸化模倣型ミュータントCPI-17ノックインマウス(TA)、HEK細胞実験でリン酸化蓄積型のフェノタイプを示したThr38をSerに置換したCPI-17ノックインマウス(TS)を用いて、血圧ならびに消化管の収縮性と輸送能への影響を野生型マウス(WT)と比較・解析した。TSマウスをゲノム編集で作製することに成功した。しかし、TSマウスにおいて大動脈と回腸輪走筋の受容体刺激による収縮性について解析したが、データがばらつきWTに比べてどのように収縮性が変化しているか結論を出すに至らなかった。現在、さらにミオシンのリン酸化測定をすることで、TSマウスのフェノタイプについて検証を継続している。正常血圧はKOとTAでは有意に低く、PKC/CPI-17の経路が正常血圧維持に関与することが示された。さらに、食塩負荷高血圧モデルにおいて、KOとTAはいずれにおいてもWTに比べて血圧上昇は減弱し、高血圧発症にもCPI-17が関与することが示された。会長平滑筋のカルバコールによる収縮はKOやTAで低下したが、胃排泄能や、消化管輸送能においていずれのミュータントマウスでも異常は認められなかった。今後、大腸輸送能やミオシンのリン酸化量の変化などについてさらに詳細に解析をしていく。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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