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2021 年度 実績報告書

MHC クラスII DRB3*0902保有牛における牛白血病抵抗性機序

研究課題

研究課題/領域番号 19H03128
研究機関宮崎大学

研究代表者

乗峰 潤三  宮崎大学, 農学部, 教授 (30627667)

研究分担者 佐藤 克明  宮崎大学, 医学部, 教授 (40301147)
今内 覚  北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40396304)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードBoLAクラスIIテトラマー / DRB3*009:02 / CD4+T細胞エピトープ
研究実績の概要

BLV感染症において牛主要組織適合遺伝子複合体(bovine MHC: BoLA)クラスIIDRB3*0902遺伝子を保有する牛は、極めて低いプロウイルス量を維持し、リンパ球増多症への病態進行に対する抵抗性を持つ。本研究目的は、BLVに感染した牛のBLV抗原特異的CD4+T細胞を解析し、BoLA-DRB3*009:02遺伝子保有牛における抵抗性の免疫学的機序を解明する事である。そのためには、まずBoLA-DRB3*009:02拘束性のCD4+T細胞エピトープを同定する必要がある。これまで、CD4+T細胞エピトープ同定に使用する組換BLVgag及びenv 蛋白質(rBLVgag/env)を、全て発現ベクター(pET151)に組み込んだ。また、オリゴペプチドとして、全BLVgag/envをカバーする連続20アミノ酸ペプチドを合成した。さらに、多数のBoLA-DRB3テトラマーを作製し、tetramer-guided epitope mapping (TGEM)法によりBLV抗原特異的CD4+T 細胞エピトープの同定を行った。牛において、MHCクラスIIテトラマーを作製しているのは本研究室のみである。従って、牛のTGEM法によるCD4+T 細胞エピトープ同定の報告は世界初である。
TGEM法によるCD4+T 細胞エピトープ同定に使用したのはフィールドBLV感染牛で、DRB3*009:02/DRB3*015:01ヘテロを保有する牛2頭、DRB3*009:02/DRB3*002:01ヘテロを保有する牛2頭、DRB3*015:01ホモを保有する牛2頭である。それぞれから回収した末梢血PBMCを利用してTGEM法により、BLV抗原特異的CD4+T 細胞エピトープを同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度計画したCD4+T細胞エピトープ同定に用いるTGEM法は、BoLAクラスIIテトラマー、DRB3*009:02、DRB3*015:01、DRB3*002:01を必要とする。加えて、今後様々な牛に対応できるようにテトラマーのレパートリーを広げていく必要もある。現在上記3種類のテトラマーを完成させ、さらに10種類の可溶性MHCクラスII分子を作製し、これらからそれぞれのテトラマーを完成できる状況となっている。
今年度は、完成したBoLA-DRB3*009:02、BoLA-DRB3*015:01、BoLA-DRB3*002:01の3つのテトラマーを使ってTGEM法を行い、BLV構造タンパク質であるgag及びenvに存在するCD4+T細胞エピトープを同定した。
TGEM法により得られた結果として、合成ペプチド83個のうちDRB3*00:902拘束性6個、DRB3*015:01拘束性2個、DRB3*002:01拘束性9個がエピトープとして同定された。これらの結果から、令和4年度に計画しているBoLA-DRB3*009:02アリル保有牛における 抗原特異的CD4+T細胞解析が可能となった。一方、新型コロナ感染の拡大にともなった移動制限などから予定していた北海道大学における予備感染実験を見送ることとなったことから、概ね順調とした。BLV特異的CD4+T細胞エピトープに関する論文は現在作成中である。

今後の研究の推進方策

完成したBoLA-DRB3*009:02、BoLA-DRB3*015:01、BoLA-DRB3*002:01テトラマーを使って、BLV感染牛の末梢血におけるBLV特異的CD4+T細胞の動態解析を行う。元々の予定では、北海道大学にてBoLA-DRB3*009:02、BoLA-DRB3*015:01を保有する牛にBLVを実験的に接種し、BLV特異的CD4+T細胞の動態を解析する計画であったが、新型コロナの影響でできなくなった。そのためフィールドにおいて、BLVに感染したDRB3*0902(ヘテロもしくはホモ)保有牛2頭以上、DRB3*015:01(ヘテロまたはホモ)保有牛2頭以上見つけ、実験に供する。同様に陰性コントロールもフィールドにおいて見つけ、実験に供する。解析項目としては、1) 抗体の測定、2) プロウイルス量測定、3) PBMC の保存及びBoLAクラスIIテトラマーによる抗原特異的CD4+T細胞動態解析、最後に4) 抗原特異的CD4+T細胞のPD-1発現解析である。宮崎県では、フィールド現場におけるBLV感染・非感染牛からの検体が豊富に手に入るため、本計画は実現可能である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] A pooled testing system to rapidly identify cattle carrying the elite controller BoLA-DRB3*009:02 haplotype against bovine leukemia virus infection.2022

    • 著者名/発表者名
      Notsu K, El Daous H, Mitoma S, Norimine J, Sekiguchi S
    • 雑誌名

      HLA

      巻: 99 ページ: 12-24

    • DOI

      10.1111/tan.14502

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] The detection of long-lasting memory foot-and-mouth disease (FMD) virus serotype O-specific CD4+ T cells from FMD-vaccinated cattle by bovine major histocompatibility complex class II tetramer.2021

    • 著者名/発表者名
      Mitoma S, Carr BV, Harvey Y, Moffat K, Sekiguchi S, Charleston B, Norimine J, Seago J
    • 雑誌名

      Immunology

      巻: 164 ページ: 266-278

    • DOI

      10.1111/imm.13367

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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