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2022 年度 実績報告書

体性幹細胞を起点とした難治性線維化に関与する「上皮-間葉」転換の病理学的基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H03130
研究機関大阪公立大学

研究代表者

山手 丈至  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 客員研究員 (50150115)

研究分担者 桑村 充  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20244668)
井澤 武史  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (20580369)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード体性幹細胞 / 筋線維芽細胞 / 上皮‐間葉転換 / 難治性線維化 / マクロファージ / 線維化の軽減実験 / ラット
研究実績の概要

線維化において重要な役割を演じる筋線維芽細胞は、マクロファージから産生される線維原性因子により体性幹細胞や未熟な線維芽細胞、あるいは上皮‐間葉転換を介して誘導されることを示した。チオアセトアミド(TAA)誘発肝線維化モデルにDAMPs(ダメージ関連分子パターン)の一つであるHMGB1に対する中和抗体を投与すると炎症反応が抑制された。これは傷害細胞から放出されるHMGB1がマクロファージなどの炎症細胞の誘導に係っていることを示唆する。また、低用量LPS(肝機能に障害を起こさない用量)を事前投与しておくとオートファジー機能が活性化し、かつTAA誘発肝病変が軽減された。低用量LPSにより活性化したオートファジーが、細胞傷害性のあるDAMPsを処理することで、肝病変が軽減したと考えられた。TAA誘発肝線維化とシスプラチン誘発腎線維化モデルにデキサメサゾン(DX)を投与するとマクロファージの浸潤が抑制され線維化が軽減された。また、体性幹細胞株MT-9に線維原性因子とともにDXを添加すると筋線維芽細胞への形質転換が抑制された。さらに、腎線維化モデルにACE阻害剤であるエナラプリルを投与すると線維化の形成が抑制された。すなわち、筋線維芽細胞の誘導機序には「DAMPs(HMGB1)‐オートファジー‐マクロファージ」の相互関連が重要であることが分かった。ラットの体性幹細胞認識抗体A3のさらなる特性解明を試みた。A3が認識するエピトープにはN型糖鎖が含まれること、A3認識細胞は間葉系幹細胞のみならず、毛包の発生と毛周期、さらには表皮再生に関与する上皮性の幹細胞をも認識することが分かった。体性幹細胞や上皮‐間葉転換を介して形成される筋線維芽細胞の役割に関する研究においてA3は有用な抗体になると考えられた。体性幹細胞を基軸とした線維化の形成メカニズムを「幹細胞病理学」の観点で展開することができた。

現在までの達成度 (段落)

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Possible cytoprotection of low dose lipopolysaccharide in rat thioacetamide-induced liver lesions, focusing on the analyses of hepatic macrophages and autophagy.2022

    • 著者名/発表者名
      Pervin M, Karim MR, Kuramochi M, Izawa T, Kuwamura M, Yamate J
    • 雑誌名

      Toxicol Pathol.

      巻: 50 ページ: 353-365

    • DOI

      10.1177/01926233221076758.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 第2回 マクロファージ病理学;創傷治癒とマクロファージ2022

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 雑誌名

      日生研たより

      巻: 68 ページ: 11-18

  • [雑誌論文] 第3回 マクロファージ病理学;マクロファージと肝毒性(その1)2022

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 雑誌名

      日生研たより

      巻: 68 ページ: 21-28

  • [雑誌論文] 第3回 マクロファージ病理学;マクロファージと肝毒性(その2)2022

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 雑誌名

      日生研たより

      巻: 68 ページ: 37-45

  • [雑誌論文] 第4回 マクロファージ病理学;マクロファージと腎線維化2022

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 雑誌名

      日生研たより

      巻: 68 ページ: 55-63

  • [雑誌論文] 線維化の功と罪、そのメカニズムを探る2022

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 雑誌名

      実験病理組織技術研究会誌

      巻: 30 ページ: 1-12

  • [学会発表] 毒性病理学の継承:その学術的意義と重要知見2023

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 学会等名
      第39回日本毒性病理学会総会及び学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] AI画像解析による肝毒性所見の定量化と血清ALT、ASTとの相関解析2023

    • 著者名/発表者名
      稲井 洋平、井澤 武史、瓶井 知美、田中 美有、山手 丈至、桑村 充
    • 学会等名
      第39回日本毒性病理学会総会及び学術集会
  • [学会発表] 線維化の功と罪、そのメカニズムを探る2022

    • 著者名/発表者名
      山手丈至
    • 学会等名
      実験病理組織技術研究会 第28回学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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