研究課題/領域番号 |
19H03143
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00361387)
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研究分担者 |
森田 純代 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (40589264)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 単為発生 / エピゲノム編集 |
研究実績の概要 |
多くの動物は受精を経ず卵子だけから個体発生する単為発生を生殖戦略の1つとして採用してきた。一方、哺乳類の単為発生胚は発生途中で致死となる。これは、哺乳類だけが配偶子特異的な遺伝子修飾「ゲノムインプリンティング」を保有するためである。近年では、遺伝子工学と発生工学を駆使して、ゲノムインプリンティングを操作することにより、単為発生マウスを得られるようになった。しかし、インプリント遺伝子の発現調節領域のゲノムの改変が必要なことや、発生段階の異なる卵子を準備して一連の核移植操作を行なう必要があるなどマウス以外の哺乳類には適用が難しいものであった。本研究では、我々が最近開発した高効率エピゲノム編集法(Nature Biotechnology, 2016)により、ゲノムを一切改変することなく、遺伝子修飾のみを書き換えることによって卵子から単為発生マウスの作製を試みる。 これまでの申請者らの研究から、単為発生胚よりも単為発生胚由来ES細胞の方が、母性インプリントが消失して正常胚に近い状態であることがわかっている。そこで単為発生胚由来ES細胞(PgES)をエピゲノム編集して個体作製を試みた。単為発生胚に不足する父性インプリントは、Igf2/H19を補うだけでも効果があり、加えてDlk1/Gtl2を補うことで十分効果があることが示唆されている(Kawahara et al., 2007)。前年度はエピゲノム編集によりH19-DMRをメチル化させたPgES由来個体を4倍体補完法により作製したところ、通常妊娠9.5日目で死亡するが、妊娠13.5日目で帝王切開したところ、胎児形成を確認することができた。今年度は、DlkI/Gtl2の発現を補うためにPgESにエピゲノム編集を行い、細胞株を分離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はDlk1/Gtl2のエピゲノム編集を実施後、キメラマウスの作製まで行う予定であったが、この領域のエピゲノム編集細胞株の樹立にとどまった。2020年度前半の研究自粛期間の影響などにより、やや実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
H19/Igf2およびDlk1/Gtl2の2つの領域をエピゲノム編集によりメチル化させたPgES細胞を用いて、キメラマウス作製を行う。4倍体補完法によりPgES由来の個体作製を行うとともに、状況に応じて2倍体胚とのキメラマウスを作製し、PgES細胞の寄与率をFACSで解析することにより、エピゲノム編集によるPgES細胞の分化能の改善を評価する。
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