研究課題/領域番号 |
19H03147
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 潤二 大阪大学, 微生物病研究所, 招へい教授 (50163407)
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研究分担者 |
近藤 玄 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40243258)
渡邊 仁美 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (80624056)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒト化マウス / HLA遺伝子座 / マウスES細胞 / 細胞融合 |
研究実績の概要 |
ヒト免疫機構をマウス個体で解析するために、ヒト免疫機構に関わるHLA遺伝子をヒト細胞―マウスES細胞間の細胞融合によりマウス当該遺伝子と置き換え、その後マウスを作製する。 その目標を達成するために、まずヒト細胞あるいはマウスES細胞において当該遺伝子を組み換えるためのベクター作製をした。薬剤選択遺伝子(Neomycin(Neo)あるいはPuromycin(Puro))をそれぞれ5’と3’部分に分割した。ヒトHLA遺伝子(約3Mb)の境界領域にSplit 5’Neo遺伝子ならびにSplit 3’Puro遺伝子を挿入し、マウス当該遺伝子であるMHC遺伝子の境界領域にはSplit 3’Neo遺伝子ならびにSplit 5’Puro遺伝子を挿入する手法を利用する。そのために4種類のターゲッティングベクターを構築した。さらに標的領域のターゲティングするためにgRNAをまず4種類作製した。その後、一箇所のターゲティングの効率が非常に低かったのでさらに4種類のgRNAを作製した。 その後、ヒトHAP細胞にベクターを導入し、ヒトHLA遺伝子の境界領域にベクターが挿入された組み換え体を取得した。さらに細胞融合後にCre/loxPを利用したHLA遺伝子座領域の置換を起こすためにHAP細胞にタモキシフェンで誘導されるCAG-ERT2-iCre-ERT2遺伝子も導入した。CAG-ERT2-iCre-ERT2が機能的に作用するかどうかを獲得したクローンに対して、CAG-LoxP-CAT-LoxP-EGFPベクターを導入後タモキシフェンを添加した。その結果、タモキシフェン依存的にEGFPの発現を認めた。すなわち、CAG-ERT2-iCre-ERT2は機能的であることが確認できた。 HAP細胞は当初ハプロイドなので一度のターゲティングで充分と考えていたが、解析後ディプロイドであるということが判明したので、現在再度の遺伝子導入を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトHLA遺伝子座とマウスMHC遺伝子座間の置き換えを起こすためにターゲッティングベクターを挿入した。ヒトHAP細胞はハプロイドなので一度のベクター挿入で充分と考えていたが、ベクター挿入後に解析するとディプロイド化しているのが判明した。そこで再度ベクターを導入して両アレルにベクターを導入しなければならなくなった。 ヒトHAP細胞は遺伝子導入の率が低く、遺伝子導入の最適な条件検討に時間を有した。現在のところ遺伝子導入効率約70%の条件で実験を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き、ヒトHLA遺伝子座とマウスMHC遺伝子座間の置き換えを起こすためにターゲッティングベクターを挿入させる。ヒトHAP細胞はハプロイドなので一度のベクター挿入で充分と考えていたが、ベクター挿入後に解析するとディプロイド化しているのが判明した。そこで再度ベクターを導入して両アレルにベクターを導入する。次にマウスES細胞(B6x129由来)のMHC遺伝子領域の境界に同様にターゲティングベクターを挿入する。その際に、SNP解析を用いてどちらのアレルのターゲティングベクターが挿入されているか解析し、同じアレルの挿入されているクローンを選択する。 その後、組換えHAP細胞とマウスES細胞を融合して、HLA遺伝子座が置き換わっているクローンをG418、ピュロマイシン選択により選別する。選別されたクローンからゲノムを調製し、全ゲノムシークエンス解析を行い、HLA遺伝子座だけがマウスゲノムに挿入されているかどうかの確認を行う。 もしも、確認できればそのES細胞由来のマウス作製を行う。
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