研究課題/領域番号 |
19H03149
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
武井 佳史 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (70362233)
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研究分担者 |
三原 圭一朗 藤田医科大学, 国際再生医療センター, 教授 (90363077)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 癌転移 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
癌転移開始細胞(以下MICと略す)は、原発癌に巣喰う微量な細胞集団で、癌転移を積極的に仕掛ける。MICの制圧が癌転移抑止に必須であるが、MICの特異抗原が不明であるなど、未解明な点が多い。我々はスキルス胃癌患者より細胞株を樹立し、独自にMIC実験モデルを立ち上げてきた。その解析により「MICで高発現するZIP10という分子が、癌転移と密接な関係にある」という知見を得てきた。この成果を基に以下の3点を目的に掲げる。 すなわち、MICに高発現するZIP10をゲノム編集でKOし、①癌転移におけるZIP10の生物学的意義を解明、②ZIP10がin vivoで癌転移抑止の分子標的になり得るか否か、③患者血中循環癌細胞を対象にZIP10が癌転移のマーカーになり得るか否か、以上3点の証明を目的とする。 昨年度までの検討で、スキルス胃癌株から単離したMICにおいて高発現するZIP10をゲノム編集でKOすることに成功している。今年度はそのKO株を使って以下の結果を得た。すなわち、in vitroにおけるフェノタイプとして、EMTマーカーやステムネスマーカーの発現低下を明らかにした。またMICの浸潤能低下を観察した。抗癌剤耐性について現在、検討中である。また、研究を進めていく途中で明らかになってきたZIP10結合タンパク質と想定される分子についての解析も継続して行っている。 癌転移開始細胞MICで高発現するZIP10の生物学的意義の解明につながる研究成果を積み重ね、かつZIP10を分子標的とした癌転移抑止法の確立につなげていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画書に記載した実験をひとつずつ行った。試行錯誤が必要な実験もあったが、実験を軌道に乗せることができた。当初は想定していなかった新たな興味ある知見も出てきて、今後さらに研究を発展させていける可能性を感じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においても、研究実施計画書に記載した実験内容に従って、実験を進めていく予定である。とくに動物実験をしっかり行って、ZIP10を標的とした抗癌転移療法への応用性を示すことに注力したい。
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