研究課題
本研究では、緑膿菌由来の異物排出膜タンパク質複合体MexAB-OprMの機能する現場で形成する正確な構造を解明し、抗菌剤を菌体外に放出する機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、抗菌剤結合型MexAB-OprM複合体の全容を明らかにし、複合体形成から薬剤排出までのメカニズムを明らかにすることを目指して、1)抗菌剤放出機構に関連する構造解析及び2)MexAB-OprM複合体の菌体外への異物排出機構の提案を行った。1)抗菌剤放出機構に関連する構造解析抗菌剤をMexAB-OprM複合体溶液に加え、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法により抗菌剤結合型MexAB-OprM複合体の構造解析を行い、4.0オングストロームの解像度で抗菌剤結合型の構造を明らかにした。また、ホモログ分子の構造解析では、MexAB-OprM複合体とは異なる抗菌剤を排出するMexXY-OprM複合体の構成タンパク質であるMexXの結晶構造解析に3.0オングストローム分解能で成功した。2)MexAB-OprM複合体の菌体外への異物排出機構の提案MexAB-OprM複合体と抗菌剤結合型MexAB-OprM複合体の原子レベルでの構造比較から、抗菌剤が結合することにより起こる複合体内の構造変化を捉えることができた。この構造変化と複合体形成時に起こる構造変化及びそれらに関わるアミノ酸残基の変異体を用いた薬剤耐性実験や複合体再構成実験から重要なアミノ酸残基を同定し、MexAB-OprM複合体による菌体外への異物排出機構を複合体形成過程から提案した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
The Journal of Biological Chemistry
巻: 297 ページ: 100967
10.1016/j.jbc.2021.100967
Nature Communications
巻: 12 ページ: 54000
10.1038/s41467-021-25679-0.
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/rcsfp/supracryst/research/theme/yakuzai-haisyutu/