研究課題/領域番号 |
19H03184
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
顧 建国 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40260369)
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研究分担者 |
福田 友彦 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (40433510)
伊左治 知弥 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (80433514)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インテグリン / O-GlcNAc / N-型糖鎖 |
研究実績の概要 |
我々が着目しているインテグリンは、古くから全世界で精力的に研究がなされている。しかし、ほとんどの研究はインテグリンの蛋白質自体に注目したものであり、矛盾する報告も数多くなされている。インテグリンを介するシグナル伝達経路には、ECMとの結合による細胞内へのシグナル伝達 (outside-in シグナル)と細胞内の活性化状態によるインテグリンとECMとの結合への調節 (inside-out シグナル)が存在する。 これまで、我々はインテグリンを介する細胞接着シグナル経路において中心的な分子であるFocal adhesion kinase(FAK)がO-GlcNAc修飾の標的であり、この修飾によって細胞接着が調節されることを明らかにした。しかし、FAKのどの位置にO-GlcNAcが付加するか、また、それぞれの修飾がFAKや細胞機能に与える影響に関してはほとんど不明である。令和2年度では、我々はLC-MS/MSで解析したところ、三カ所のSerまたはThr残基にO-GlcNAc修飾を同定した。FAK-KO細胞にその三か所にO-GlcNAc修飾ができない各種の変異を導入したFAK変異細胞を樹立し、機能を解析した。その結果、細胞の増殖やFAKの核移行などに対して、その三か所はそれぞれの機能を有する事がわかった。一方、O-GlcNAcylationによってN-型糖鎖の生合成に与える影響を見出し、その分子機序を詳しくく解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞外のN-型糖鎖と細胞内のO-GlcNAc間のクロストークに関した解析は着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外のN-型糖鎖と細胞内のO-GlcNAc間のクロストークに関する分子機序の解明を目指して研究を進めて行く。 1)申請者らは、これまでGlcNAc分岐型のN-型糖鎖がインテグリンの機能制御に大事な役割を担うことを見出している。O-GlcNAc修飾とGlcNAc分岐型N-型糖鎖の生合成に共通のドナーである糖ヌクレオチドUDP-GlcNAcは、細胞質に作られ、その一部がゴルジ体膜に存在するトランスポーターを介してゴルジ体内腔に運ばれ、GlcNAc分岐型N-型糖鎖の生合成に使われる。我々は、細胞質側に行っているO-GlcNAcylationがそれらのトランスポーターに修飾してそのタンパク質の安定性に寄与し、さらにGlcNAc分岐型N-型糖鎖の生合成に影響を与えることを見出した。令和3年度では、細胞内のO-GlcNAcによるN-型糖鎖生合成の制御とその分子機序を明らかにする。 2)令和2年度に続き、FAK上に同定された三か所のO-GlcNAc付加部位の機能を、特に細胞周期における機能を明らかにする。
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