研究課題/領域番号 |
19H03184
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
顧 建国 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40260369)
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研究分担者 |
福田 友彦 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (40433510)
伊左治 知弥 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (80433514)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | O-GlcNAc / N-型糖鎖 / UDP-GlcNAc輸送体 / インテグリン |
研究実績の概要 |
インテグリンを介するシグナル伝達経路には、ECMとの結合による細胞内へのシグナル伝達 (outside-in シグナル)と細胞内の活性化状態によるインテグリンとECMとの結合への調節 (inside-out シグナル)が存在する。申請者らは、これまでGlcNAc分岐型のN-型糖鎖がインテグリンの機能制御に大事な役割を担うことを見出している。O-GlcNAc修飾とGlcNAc分岐型N-型糖鎖の生合成に共通のドナーである糖ヌクレオチドUDP-GlcNAcは、細胞質に作られ、その一部がゴルジ体膜に存在するトランスポーターを介してゴルジ体内腔に運ばれ、GlcNAc分岐型N-型糖鎖の生合成に使われる。我々は、細胞質側に行っているO-GlcNAc修飾がUDP-GlcNAc輸送体であるSLC35A3の安定性に寄与し、β1,4 GlcNAc分岐型N-型糖鎖(GnT-IVの産物)の生合成に影響を与えることを見出した。即ち、OGTのノックダウン細胞では、GnT-IVの産物の3本と4本鎖N-型糖鎖のみが減少した。面白いことに、SLC35A3がGnT-VではなくGnT-IVと特異的に結合することを発見した。さらには、SLC35A3の欠損細胞においても、GnT-IVの産物のみが減少していることが確認された。これらの結果は、細胞内のO-GlcNAc修飾によるOGT/SLC35A3/GnT-IVの軸を介するN-型糖鎖生合成の新しい制御経路が示されている。また、我々は、インテグリンのシグナルを司る細胞内Focal adhesion kinase(FAK)がN-型糖鎖のシアリル化と深く関わることを見出し、その分子機序を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外のN-型糖鎖と細胞内のO-GlcNAc間のクロストークに関する分子機序の解明を目指して研究を進めて行く。 1)申請者らは、O-GlcNAc修飾がUDP-GlcNAc輸送体であるSLC35A3の安定性に寄与し、特異的にβ1,4 GlcNAc分岐型N-型糖鎖(GnT-IVの産物)の生合成に影響を与えることを見出している。今年度では、SLC35A3とGnT-IVとの特異性に関しても、Topo-ID標識法を利用して更に検討する。また、O-GlcNAc修飾が他の糖ヌクレオチド輸送体にも起こるか、またその機能制御にどのような影響を与えるかに関しても検討する。 2)令和3年度に続き、O-GlcNAc修飾の標的とされているFocal adhesion kinase(FAK)によるN-型糖鎖生合成への影響を調べる。特にPI4KIIαの安定性やシアル酸転移酵素の複合体形成に与える影響を検討する。
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