研究課題
心筋βミオシンは、アクチンフィラメントと相互作用し構造変化を起こすことで、心臓の心室の収縮をもたらしている。βミオシンの運動特性を明らかにするために、マイナスの負荷から最大力を超える負荷までの範囲にてβミオシン多分子の力計測を行った。力計測では、ガラス面に固定されたミオシンフィラメントと一端にビーズが付けられたアクチンフィラメントを相互作用させ、そのビーズの変位を記録した。さらに,ピエゾミラーを置くことで光ピンセットの位置を電気的に制御できるようにし、力計測中に光ピンセットを動かすことによって最大力を超える負荷やマイナスの負荷を実現した。その結果、従来よりも広い負荷範囲でステップ状の変位や力の計測を行うことができた。ウニ精子鞭毛は、分子から鞭毛に至る階層構造を有している。その各階層構造においてダイニン集団がどのような力学特性を持ち、振動特性に階層がどのように影響をあたえるだろうか。研究では、ウニ精子鞭毛軸糸、doblet微小管のbundleまたは1本のdoblet微小管を用いて、光ピンセット法によって、力や変位を計測した。鞭毛内でのダイニン集団が発生する力の特性やダイニン分子の特性を明らかにした。軸糸の長さ、bundle および1本のダブレット微小管に相互作用している重合微小管の長さと力の関係を解析した。その結果、軸糸では力は長さんに比例し、1 μmあたり~14pN の力が発生した。bundle もこれに従うことが明らかになった。ダブレット微小管上には1 μ m あたり約115 分子のダイニンが存在し、ダイニン1 分子が出す力は約5 pN と報告されていることから、16 pN はダイニン約3 分子の力に相当し、同時に力を発生するダイニンは全体の約3%であることが示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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