研究課題/領域番号 |
19H03190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 陽子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (40158043)
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研究分担者 |
矢島 潤一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00453499)
須河 光弘 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (80626383)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ダイナクチン / 構造変化 / 電子顕微鏡観察 / 高速AFM観察 |
研究実績の概要 |
ダイナクチン複合体のサイドアームとArp1 rod の相互作用について、電子顕微鏡観察像を画像処理することにより詳しく解析した結果、両者は複数の部位で可逆的に結合・解離しており、shoulderの大部分が解離している状態(shoulder-undocked)、 shoulderの根元のみが結合している状態(shoulder-docked)、サイドアーム全体が複数個所で結合した状態(sidearm-docked)、の3つのフォームがあり、それらが平衡状態にあることを示した。特に、shoulder-undocked と shoulder-docked では、サイドアームの先端は大きく揺らいでいた。これにより、従来から指摘されていた電子顕微鏡の負染色像とクライオ電子顕微鏡像の間の全体像の食い違いを説明することができた。 電子顕微鏡観察の結果を踏まえ、ダイナクチンの水溶液中でのダイナミックな構造変化を深めるために前年度に続いて高速原子間力顕微鏡観察を進めた。サイドアーム最先端部が伸び縮みする大きな動きはCAP-GlyとCC1の間にある長い天然変性領域(プロリンリッチドメイン)によるものと考え、この領域の一部を欠損した変異体を作製したところ、予想外にも、プロリンリッチドメインに続くCC1(CC1領域のN末端側)がほどけて伸びることがわかった。従って、プロリンリッチドメインにはCC1のコイルドコイル構造を安定化する役割があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな変異体の作製と高速AFM観察について、研究協力者との交流の点でやや遅れが生じた。観察後の画像解析を中心とする部分については順調に進捗し、新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
プロリンリッチドメインのCC1側(C末端側)が欠損した時にCC1のN末端側ドメインが大きく伸展することが観察されたが、これが通常の野生型でも起こりうることであるか、生理的な役割をもつのかについて確認していく。
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