超解像顕微鏡法と1分子イメージングの同時観察から得られる分子局在・分子動態・分子間相互作用の定量データ群を、統合的に関連付ける新しい方法として、“動態・局在ナノ相関解析法”を開拓し、遺伝子発現制御に適用し、新たな概念を創出することを目的として、次を行った。 1.高速超解像・1分子イメージング同時観察顕微鏡。生細胞で4色までの多色に対応し、高精度の高速超解像イメージングと1分子蛍光イメージングとを同時観察できる蛍光顕微鏡を、従来開発技術を改良し、多機能対応システムとして構築した。2.蛍光標識。目的タンパク質遺伝子(RNAポリメラーゼII、種々のヒストンvariant、核小体タンパク質、ヘテロクマチンタンパク質等と、各種変異体)に、超解像用のphoto-activable/-switchable FP、1分子イメージング用のGFP、両用のHalo等tagシステム(蛍光色素結合)を用いて、蛍光標識を行った。3.1分子イメージングによる動態解析。申請者らの開発した、分子動態を時間・空間の関数として定量計測する方法である移動部分軌跡解析法に関し、軌跡の追跡方法と、部分軌跡の平均二乗変位MSD(t)から動態定量情報を得る方法を改良した。さらに、有効ばね定数、移動範囲、動態による分類・クラスター化等を導入して、多種定量データ取得方法を開発した。4.超解像解析。局在化方式(PALM/STORM) 超解像のナノ局在解析に、近傍分布解析など、多種定量データ取得方法を導入・考案した。5.領域マーカー・ナノ局在・1分子イメージングの多種多色画像を関連付け、解析する方法を開発した。6.以上の解析方法による多種多量の定量データ群を統合的に用い、分子局在・分子動態・機能“場”を相関解析する“動態・局在ナノ相関解析法”を開拓した。転写複合体、核小体、ヘテロクマチンに関し、液相の観点から特徴を明らかにした。
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