研究課題/領域番号 |
19H03198
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 団 大阪大学, 蛋白質研究所, 講師 (40350475)
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研究分担者 |
山澤 徳志子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00282616)
大山 廣太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員(定常) (70632131)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リアノジン受容体 / カルシウム / 蛍光イメージング / 光学顕微鏡 / 熱パルス |
研究実績の概要 |
悪性高熱症(MH)は、過剰な体温上昇が引き金となって筋細胞の収縮および熱産生の機能が制御不能となる疾患である。MHはCa2+放出チャネルの1型リアノジン受容体(ryanodine receptor type 1, RyR1)の変異により引き起こされ、300種類以上の点変異が同定されている。しかしたった一つの変異が、この巨大なタンパク質の働きを変調する仕組みは不明である。そこで本研究では、RyR1変異体における熱応答を網羅的に解析し、変異部位と熱応答性との相関を得て、重篤な変異の集中する箇所を探る(「熱暴走マッピング」)ことを目的とする。 まず、研究分担者のもとで予備的検討を進めるかたわら、解析を加速するため、研究代表者においても新規に光学顕微鏡系を構築することを初年度に計画しており、これを進めた。ところが構築の途中で、顕微鏡系に設置を進めていたユニットの内部を知る製造販売元の担当者が転職し、細かな設定・調整を進められなくなるという想定外の事象が生じた。さらに新担当者との制作過程で、当初は想定できなかった接続部品の不足が明らかとなり、制作を延期する必要が生じるといった遅延が生じた。 いっぽうこれと並行して、変異によって生じるチャネル構造の変化がなぜ、どのような仕組みによってチャネルの機能を変えてしまうのかを明らかにしようと進めて来た検討を継続した。特に、研究分担者が中心となり進めていた、Caイメージングと分子動力学シミュレーションとを組み合わせた解析が進捗した。N末領域に生じた点突然変異が与えるチャネル機能についての理解が進捗し、成果が論文として受理された[Yamazawa*, et al., Journal of General Physiology (2020)]。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光学顕微鏡系の構築にあたり、製造販売元の担当者が転職するという想定外の事象が生じたことから当初の計画より遅れたため。しかし、当該装置の完成した以降はおおむね計画通りに進んでいる。またCaイメージングと分子動力学シミュレーションとを組み合わせた解析が順調に進捗した。以上の理由から、おおむね計画の通り進んでいるものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の大きな変更は予定していない。当初の研究計画に沿って次年度も研究を進める。
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