研究実績の概要 |
距離計測に関して、約30nmの精度で核膜孔複合体のタンパク質の距離を計測した結果を発表した(Asakawa et al., 2019)。この研究の中で、1nmの精度を恒常的に得るためには高精度の光学収差補正を組み込む必要があることが明らかになった。 超解像顕微鏡の構築に関して、当初の予定通り研究を進めたところ、光のスポットは小さくなったにもかかわらず、分解能が向上しないという矛盾が生じた。この原因を追及し、理論の再検証を行い、異なる方法で研究実現の目処を立てていたが、コロナウィルス感染症による感染拡大の影響を受け、共同研究が進められず、研究は遅れた。その一方、光学シミュレーションを予定より拡大して行ったところ、予想外の結果を得た。すなわち、従来のように光学的手法に寄らずとも、計算機上で光学収差を補正できる新しい方法を開発できる可能性を発見した。今後は、この光学収差補正法を拡充させ、距離計測法と超解像顕微鏡法に適用し、精度を向上させることを目指す。 また、距離計測に必須となる色収差補正技術に関して、公開しているソフトウェアの補正精度をさらに向上し、その結果をまとめて使用方法と合わせて公開した(Matsuda et al., 2020)。 また、距離計測法に関して重要になる光学収差補正を行うための新しい波面センサーの開発し発表した(Ashida et al., 2020)。 その他、超解像顕微鏡と関わるホログラフィック顕微鏡を用いて僅か5枚のホログラフィー画像から2色3次元の画像を再構築することに成功した(Tahara et al., 2020)。また、超解像顕微鏡を用いて微細な生体構造を明らかにし、発表した(Ogi et al., 2019, Murawska et al., 2020, Low et al., 2021, Ding et al., 2021)。
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