研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、出芽酵母の必須遺伝子でハプロ不全性が生じる分子メカニズムを解明することである。増殖に必須なシャペロニンCCT複合体のサブユニットをコードする全8遺伝子(TCT1,CCT2-CCT8)を用いて、遺伝子高発現させた時に、果たして発現量を減らした時と同じ表現型を示すのかどうかを形態的観点から調べた。その結果、過剰発現しても顕著な形態変化は認められなかった。この結果は遺伝子の発現レベルを増加させても減少させても同じ形態表現型が現れるとするバランス仮説を否定し、不十分量仮説を支持した。
遺伝学
ヒト遺伝病データベース(OMIM)によると、ハプロ不全性様式のヒトの優性遺伝病は現在700件以上の登録がされている。ヒトゲノムの解析からハプロ不全性遺伝子に対する興味が高まる中で、本研究では遺伝子操作と表現型解析が容易に行える出芽酵母の利点を生かしてハプロ不全性のメカニズムに実験的にアプローチした。得られた結果からは、ハプロ不全性のメカニズムとして不十分量仮説が支持されるようになり、ハプロ不全様式の優性遺伝病の理解に役立つ知見が得られた。